アセチルコリン のバックアップ(No.1)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 アセチルコリンとは、神経伝達物質のひとつ。物質としては、コリンと酢酸がエステル結合した物質。骨格筋支配している運動ニューロンや、自律神経系節前ニューロン交感神経副交感神経の両方)、節後ニューロン(副交感神経のみ)などで使われている。アセチルコリンを神経伝達物質として使っているニューロンをコリン作動性ニューロンという。

物質としてのアセチルコリン

 アセチルコリンは、コリンと酢酸がエステル結合した物質で、分子量は146.2。コリンは、3価の窒素に対して4個のCが接続しているので正の電荷をもち、陽イオンとしてふるまう。このため、コリンやアセチルコリンは水溶性で細胞膜を通り抜けられない。アセチルコリンが細胞内でつくられるときは、コリンが材料となり、アセチルCoAの酢酸の部分がコリンと結合する。これはコリンアセチルトランスフェラーゼという酵素の働き。

 コリンは必須栄養素で、アセチルコリンの材料として使われる他に、フォスファチジルコリンスフィンゴミエリンなどの細胞膜を構成するリン脂質の材料にもなる。

シナプスでのアセチルコリン

 アセチルコリンは、運動ニューロン交感神経副交感神経節前ニューロン、副交感神経の節後ニューロンなどのコリン作動性ニューロン細胞内で、コリンを材料としてつくられる。つくられたアセチルコリンはシナプス小胞の中に詰められ、ニューロンの興奮時にシナプス間隙に放出される。アセチルコリンがシナプス後膜(隣のニューロンの細胞膜)にあるアセチルコリン受容体に結合するとそのニューロンへと興奮が伝達される。その後、アセチルコリンはシナプス後膜にあるアセチルコリンエステラーゼの働きで、コリンと酢酸に分解されると、アセチルコリンの活性を失う。遊離したコリンは再びシナプス前膜のニューロンに取り込まれ、アセチルコリンの材料となる。

 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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