アセチルコリン のバックアップ差分(No.1)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
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#author("2021-11-19T19:26:52+09:00","","") ''アセチルコリン''とは、[[神経伝達物質]]のひとつ。物質としては、[[コリン]]と酢酸がエステル結合した物質。[[骨格筋]]を[[支配]]している[[運動ニューロン]]や、[[自律神経系]]の[[節前ニューロン]]([[交感神経]]・[[副交感神経]]の両方)、[[節後ニューロン]](副交感神経のみ)などで使われている。アセチルコリンを神経伝達物質として使っているニューロンを[[コリン作動性ニューロン]]という。 ** 物質としてのアセチルコリン [#qa5fe2d5] アセチルコリンは、[[コリン]]と酢酸がエステル結合した物質で、分子量は146.2。コリンは、3価の窒素に対して4個のCが接続しているので正の電荷をもち、陽イオンとしてふるまう。このため、コリンやアセチルコリンは水溶性で[[細胞膜]]を通り抜けられない。アセチルコリンが[[細胞]]内でつくられるときは、コリンが材料となり、[[アセチルCoA]]の酢酸の部分がコリンと結合する。これはコリンアセチルトランスフェラーゼという[[酵素]]の働き。 コリンは必須栄養素で、アセチルコリンの材料として使われる他に、[[フォスファチジルコリン]]、[[スフィンゴミエリン]]などの[[細胞膜]]を構成する[[リン脂質]]の材料にもなる。 ** シナプスでのアセチルコリン [#ma93b3e7] アセチルコリンは、[[運動ニューロン]]や[[交感神経]]、[[副交感神経]]の[[節前ニューロン]]、副交感神経の[[節後ニューロン]]などの[[コリン作動性ニューロン]]の[[細胞]]内で、[[コリン]]を材料としてつくられる。つくられたアセチルコリンは[[シナプス小胞]]の中に詰められ、[[ニューロン]]の興奮時に[[シナプス間隙]]に放出される。アセチルコリンが[[シナプス後膜]](隣のニューロンの細胞膜)にある[[アセチルコリン受容体]]に結合するとそのニューロンへと興奮が伝達される。その後、アセチルコリンはシナプス後膜にあるアセチルコリンエステラーゼの働きで、コリンと酢酸に分解されると、アセチルコリンの活性を失う。遊離したコリンは再び[[シナプス前膜]]のニューロンに取り込まれ、アセチルコリンの材料となる。