放線冠 のバックアップ差分(No.1)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

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 ''放線冠''(ほうせんかん)とは、何かを囲むように放射状(同心円状)に取り巻く(かんむりのような)構造に付けられる名前で、
- [[卵細胞]]の周囲を取り巻く[[顆粒層細胞]]の層
- [[大脳]]内部を放射状に走行する[[神経線維]]の束

の名前で使われている。どちらの用法のときも、ラテン語名は corona radiata(コロナ・ラディアータ)。

* 卵細胞の周囲を取り巻く放線冠 [#jc606286]
 [[卵細胞]]周囲の放線冠とは、[[卵巣]]の中で卵細胞が発育する[[卵胞]]内にあって、卵細胞を囲んでいる数層の[[顆粒層細胞]]の層のこと。この部分は[[卵丘]]という盛り上がりをつくっていて、[[排卵]]されるときは、卵丘(=卵細胞とそれを囲む放線冠の細胞)が卵胞壁からちぎれて、卵巣の外へと押し出され、[[卵管]]内を流れていく。[[精子]]と受精するときも、卵細胞のまわりにはまだ放線冠がついているので、精子は放線冠の層も通り抜けないと受精できない。

 放線冠の細胞と卵細胞との間には[[透明帯]]という膜がある。

* 大脳内部の線維走行の放線冠 [#s540690a]
 [[大脳]]内部の放線冠とは、大脳内部、つまり[[大脳髄質]]を走る大量の[[神経線維]]が、大脳の最も奥にある[[内包]]、[[大脳基底核]]、[[視床]]などを中心として、放射状に走る様子について付けられた名前。つまり、内包、大脳基底核、視床などと大脳の表面にある[[大脳皮質]]とをつなぐ線維の束のこと。

 [[大脳皮質]]とそれ以外の部位をつなぐ[[神経線維]]のことを[[投射線維]]と呼ぶので、放線冠は投射線維が[[大脳髄質]]で作っている構造ともいえる。これらの線維には、たとえば[[骨格筋]]の運動を制御する[[錐体路]]の線維が大脳皮質の[[運動中枢]]から[[内包]]に向かう線維や、[[視覚]]や[[聴覚]]、[[皮膚感覚]]などの感覚情報が[[視床]]を経由して大脳皮質のそれぞれの中枢に向かう線維など、[[上行性]]、[[下行性]]の線維が含まれる。

 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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