放線冠 のバックアップの現在との差分(No.3)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

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#author("2021-05-13T12:58:30+09:00","","")
 ''放線冠''(ほうせんかん)とは、何かを囲むように放射状(同心円状)に取り巻く(かんむりのような)構造に付けられる名前で、
- [[卵細胞]]の周囲を取り巻く[[顆粒層細胞]]の層
- [[大脳]]内部を放射状に走行する[[神経線維]]の束

の名前で使われている。どちらの用法のときも、英語名、ラテン語名は同じく corona radiata(コロナ・ラディアータ)。
の名前で使われている。つまり、全く別のものに同じ名前がつけられている。どちらの用法のときも、英語名、ラテン語名は同じく corona radiata(コロナ・ラディアータ)。


* 卵細胞の周囲を取り巻く放線冠 [#jc606286]
 [[卵細胞]]周囲の放線冠とは、[[卵巣]]から[[排卵]]され、[[卵管]]を通って[[子宮]]へと流れていく卵細胞のまわりを囲んでいる細胞層のこと。この細胞層は卵巣のなかで卵細胞を囲んでいた[[顆粒層細胞]](の一部)である。排卵された卵細胞を顕微鏡で見ると、卵細胞のまわりを冠が取り巻いているように見えることからこう呼ばれる。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|放線冠|ほうせんかん |
|>|英語・ラテン語|corona radiata |コロナ・ラディアータ |

 [[卵巣]]内で、[[卵細胞]]は[[卵胞]]の中で成熟していく。卵細胞は[[顆粒層細胞]](または[[卵胞上皮細胞]])という細胞層に取り巻かれていて、卵細胞はこの細胞を通して栄養を受け取る。排卵前の[[成熟卵胞]](グラーフ卵胞)になると、卵細胞とそれを囲む数層の[[顆粒層細胞]]の部分は、[[卵丘]]という盛り上がりをつくっている。[[排卵]]されるときは、卵丘(=卵細胞とそれを囲む放線冠の細胞)ごと卵胞壁からちぎれて、卵巣の外へと押し出され、[[卵管]]内を流れていく。[[精子]]と受精するときも、卵細胞のまわりにはまだ放線冠がついているので、精子は放線冠の層も通り抜けないと受精できない。

 放線冠の細胞と[[卵細胞]]との間には[[透明帯]]という膜がある。

> カテゴリー: [[生殖器系>category/生殖器系]] | [[女性生殖器系>category/女性生殖器系]] | [[腹部>category/腹部]] | [[卵巣>category/卵巣]]


* 大脳内部の線維走行の放線冠 [#s540690a]
 [[大脳]]内部の放線冠とは、大脳内部、つまり[[大脳髄質]]を走る大量の[[神経線維]]が、大脳の最も奥にある[[内包]]、[[大脳基底核]]、[[視床]]などを中心として、放射状に走る様子について付けられた名前。つまり、内包、大脳基底核、視床などと大脳の表面にある[[大脳皮質]]とをつなぐ線維の束のこと。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|放線冠|ほうせんかん |
|>|英語・ラテン語|corona radiata |コロナ・ラディアータ |

 [[大脳皮質]]とそれ以外の部位をつなぐ[[神経線維]]のことを[[投射線維]]と呼ぶので、放線冠は投射線維が[[大脳髄質]]で作っている構造ともいえる。これらの線維には、たとえば[[骨格筋]]の運動を制御する[[錐体路]]の線維が大脳皮質の[[運動中枢]]から[[内包]]に向かう線維や、[[視覚]]や[[聴覚]]、[[皮膚感覚]]などの感覚情報が[[視床]]を経由して大脳皮質のそれぞれの中枢に向かう線維など、[[上行性]]、[[下行性]]の線維が含まれる。

> カテゴリー: [[神経系>category/神経系]] | [[中枢神経系>category/中枢神経系]] | [[脳>category/脳]] | [[大脳>category/大脳]] | [[頭頚部>category/頭頚部]]


 
 

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