肋間筋 のバックアップ差分(No.1)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

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#author("2021-12-09T18:24:13+09:00","","")
 ''肋間筋''とは、[[肋骨]]の間のすき間(=[[肋間隙]]、ろっかんげき)をふさいでいる薄い[[筋]]のこと。肋骨とともに胸の[[内臓]]([[肺]]や[[心臓]]など)を守る[[胸壁]]をつくっている。[[骨格筋]]で、自分の意思で収縮できる[[随意筋]]である。肋間筋が収縮すると、肋骨が全体として上下に移動することで肺への空気の出し入れを助ける「[[呼吸筋]]」である。層に分かれていて、表面に近い側から[[外肋間筋]]と[[内肋間筋]](と、[[最内肋間筋]])がある。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|[[肋間筋]] |ろっかんきん |
|>|英語|intercostal muscle(s) * |インター-''コ''スタル・''マ''ッスル(ズ) |
|~|~|intercostalis muscle(s) * |インター-''コ''スタリス・''マ''ッスル(ズ) |
|ラテン語|単数|musculus intercostalis |ムスクルス・インター-コスタリス |
|~|複数|musculi intercostales * |ムスクリ・インター-コスターレス |

| * |  肋間筋は[[外肋間筋]]、[[内肋間筋]]、[[最内肋間筋]]をあわせた言い方であることと、どの肋間筋も、たくさんの[[肋骨]]の間にあるので、多数あることから、複数形を使う場合が多い |f

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|&ref(m-costa02.jpg,nolink,肋間筋);|
| ''図:肋間筋(左斜め前から見たところ)'' ((Source: [[BodyParts3D>http://lifesciencedb.jp/bp3d/]], © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under [[CC表示 継承2.1 日本 &ref(FrontPage/80x15.png);>http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/]])) &br; 肋間筋のうち、もっとも表面にあるのは[[外肋間筋]](赤&color(#FF3399,#FF3399){  };)で、その奥にある[[内肋間筋]](オレンジ&color(#FFB366,#FFB366){  };)が一部だけ見えている。これは外肋間筋と内肋間筋のある位置が少しずれているためで、外肋間筋は[[肋軟骨]]の部分にはつかない。内肋間筋は[[胸骨]]の近くまである。[[最内肋間筋]]は内肋間筋に完全に隠れて見えない |f

** 外肋間筋と内肋間筋の機能の違い [#z51989e6]

 肋間筋は[[皮膚]]に近い側から、[[外肋間筋]]、[[内肋間筋]]、[[最内肋間筋]]という3層に分かれている。肋間筋は上下の[[肋骨]]を斜めにつないでいるが、外肋間筋と内肋間筋は[[筋線維]]の走る向きが違う。外肋間筋では上の肋骨に付く側が[[胸骨]]のある側から遠く、下の肋骨に付く側が近い。内肋間筋は、上の肋骨に付く側が胸骨のある側に近く、下の肋骨に付く側が遠い。左右の肋間筋を対にして考えると、外肋間筋の走行は「逆ハの字」、内肋間筋の走行は「ハの字」と説明される。

|720|c
|&ref(m-costa00.jpg,nolink,外肋間筋と内肋間筋の走行);|
| ''図:外肋間筋と内肋間筋の筋線維の走行の向き(左斜め前から見たところ)'' ((Source: [[BodyParts3D>http://lifesciencedb.jp/bp3d/]], © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under [[CC表示 継承2.1 日本 &ref(FrontPage/80x15.png);>http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/]])) &br; 外肋間筋(赤&color(#FF3399,#FF3399){  };)と、その奥にある内肋間筋(オレンジ&color(#FFB366,#FFB366){  };)は、どちらも筋線維が肋骨に対して斜めに走るが、斜めの向きが逆になっている。外肋間筋が収縮すると肋骨が上がる。内肋間筋が収縮すると肋骨は下がる |f

 この違いによって、[[外肋間筋]]と[[内肋間筋]]が収縮したときの[[肋骨]]の運動が異なる。外肋間筋が収縮すると、肋骨全体が上に持ち上がり、内肋間筋が収縮すると、逆に肋骨全体が下がる。ちなみに、肋骨全体が持ち上がると[[胸腔]](肋骨に囲まれる胸の[[内臓]]のある空間)は広がり、肋骨全体が下がると胸腔は狭まる。[[肺]]は肋骨と肋間筋の作る[[胸壁]]にぴったりくっついて収まっているので、胸腔が広がると、肺も外側に引っ張られて広がり、胸腔は狭まると肺も押されて縮む。つまり、外肋間筋が収縮すると、肺が広がり(=息を吸う、[[吸気]])、内肋間筋が収縮すると、肺が縮む(=息を吐き出す、[[呼気]])。

 最内肋間筋の筋線維は内肋間筋と同じ向きに走り、内肋間筋と一緒に収縮するので、内肋間筋の機能と同じ。内肋間筋と最内肋間筋の間には、[[神経]]([[肋間神経]])や[[血管]]([[肋間動脈]]、[[肋間静脈]])が走るため、この2層に分かれている。

** 肋間筋の神経支配 [#hd49dded]
 肋間筋の運動を支配している神経は、[[肋間神経]]である。肋間神経は、[[脊髄]]のうち、[[胸髄]]から出る[[胸神経]]の[[前枝]]から起こり、肋骨の間のすき間([[肋間隙]])を通る。第1肋骨の下を通るのが第1肋間神経で、第12肋骨の下を通るのを[[肋下神経]]という。

** 食肉の部位としては [#p37f2550]
 肋間筋は、バラ肉と呼ばれる。バラ肉の「バラ」は「あばら」(=肋骨)のこと。肋骨に肋間筋がついたものを英語ではスペアリブという。バラ肉のことを朝鮮語(韓国語)ではカルビという。

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