遠位 の変更点

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

#author("2020-02-04T10:45:20+09:00","","")
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 ''遠位''とは、ある基準となる場所に対して、「基準点から遠い位置」を指す言葉。対義語は[[近位]]。
 ''遠位''とは、ある基準となる場所に対して、「基準点から遠い位置」または「基準点から遠ざかるような向き、方向」を指す言葉。対義語は[[近位]]。この場合の基準点は、「体の中心」や「なにかのスタート地点」を指す。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|遠位|えんい|
|英語|形容|distal|''ディ''スタル|

 この言葉が使われているときには、あらかじめ「基準点がどこか」は暗黙のうちに決まっているので、それを常識として知っておく必要がある。基準点は、ふつうは体や構造の中心で、液体などが流れる構造についていうときは、それが流れ始める場所など。

* 例 [#jfa345c2]
** 体の中心が基準となる例 [#vc4a09c8]
- [[上肢]]、[[下肢]]、[[指]]などでは、[[体幹]]を基準として考えて、根元から遠い場所のことを遠位という。つまり、[[手]]、[[足]]、[[指]]の先端側を遠位という。
-- 親指以外の[[指]]で、指の途中に2つずつある[[関節]]([[指節間関節]]、IP関節)では、指の根元から遠いほうを[[遠位指節間関節]](DIP関節)という。
- [[精巣]]の遠位は、[[精索]]によって[[腹腔]]とつながっている側でないほうが遠位。

** 上流が基準となる例 [#cc0472dd]
- [[消化管]]では、[[口]]を基準として考えたとき、口から遠い場所のこと。つまり[[肛門]]に近い側を遠位という。
-- 遠位の小腸といえば、大腸に近い側、回腸をさす。
- [[腎臓]]の[[尿細管]]では、最初に原尿がつくられる[[腎小体]]([[糸球体]]、[[ボウマン嚢]])から遠い、つまり腎臓からの尿の出口に近い側にある尿細管を[[遠位尿細管]]という。
- [[腎臓]]の[[尿細管]]では、最初に原尿がつくられる[[腎小体]]([[糸球体]]、[[ボーマン嚢]])から遠い、つまり腎臓からの尿の出口に近い側にある尿細管を[[遠位尿細管]]という。
- [[男性生殖器系]]で、[[精子]]が流れていく管では、精子が作られる[[精巣]]が基準となる。
-- [[精巣上体管]]では、より下流である[[尾部]]が遠位。
-- [[精管]]は、下流の[[尿道]]側が遠位。
- [[卵]]が流れていく、[[女性生殖器系]]の管では、[[卵巣]]が基準点となる。
-- [[卵管]]では、[[子宮]]の近くが遠位。

** そのほかの例 [#ha0c2d0f]
- [[神経細胞]]の[[神経線維]]([[軸索]])では、[[神経細胞体]]からより遠い位置を遠位という。
-- 神経線維の遠位端には、次の神経細胞や[[筋]]などに情報を伝える[[シナプス]]や[[運動終板]]などがある。

> カテゴリー: [[方向>category/方向]] | [[位置>category/位置]]
 
 

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