脳脊髄液
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
脳脊髄液とは、脳と脊髄の内外を覆っている液体のこと。単に髄液とも呼ばれる。正常では無色透明。
用語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 脳脊髄液 | のうせきずいえき |
髄液 | ずいえき | ||
リコール * | リコール | ||
一般 | 脳漿 | のうしょう | |
英語 | cerebrospinal fluid ** | セレブロ スパイナル・フルード | |
略語 | CSF | スィー・エス・エフ | |
ラテン語 | liquor cerebrospinalis ** | リクオル・ケレブロ スピナリス |
* | 日本語のリコールは、ラテン語の名前の省略からきている。liquor は蒸留酒の意味もあるが、ここでは「(脳から出てくる)分泌液」のような意味 |
** | 英語・ラテン語の cerebro~ は 英語の cerebral に対応し「脳の」、spinalは「脊髄の」の意味 |
脳脊髄液は、正常の状態では無色透明。脳の血管が破れたりすると、脳脊髄液に血液が混ざって、液が赤くなり、血球もまざるようになることがある。
中枢神経系(脳と脊髄)の周囲は、ひとつづきの髄膜(脳脊髄膜)で覆われている。髄膜(特に3層構造をしているうちの2層目のクモ膜)の内側に、この脳脊髄液が満たされていて、脳(と脊髄)は脳脊髄液のプールの中に浮かぶような感じになっている。クモ膜の内側と脳の間のすき間をクモ膜下腔という。
脳脊髄液は、脳室(脳の内側にある空洞)内にある脈絡叢という場所で常に血液からつくられ続けているが、脳室と脳の外側は穴(=第4脳室正中口、第4脳室外側口)でつながっているので、脳脊髄液はその穴を通って脳の外側にも出てくる。脳脊髄液はその後、髄膜の外側をとおる静脈(硬膜静脈洞)へと流れて、血液にまざる。クモ膜下腔と硬膜静脈洞は、クモ膜顆粒でつながっている。また、脊髄神経根などからも静脈に戻る。