前立腺

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 前立腺とは、男性のおなかの最下端(骨盤底)に埋まっている器官で、前立腺液をつくって、尿道に分泌する外分泌腺。前立腺液は精嚢液と混合し精液となる。男性生殖器系に含まれる。

言語表記発音、読み方
日本語医学前立腺ぜんりつせん
英語prostateステイト
prostate glandステイト・グンド
ラテン語prostataプロスタータ
glandula prostaticaグランドゥラ・プロスタティカ

前立腺液

 射精時に分泌された前立腺液は、精嚢からの分泌液である精嚢液と混合されて精液となる。精液は、ほぼ前立腺液(精液の2~4割程度を占める)と精嚢液の混合液である。前立腺液には、クエン酸が多く含まれ、精液のpH調節をしている。また、さまざまな蛋白質分解酵素が含まれている。これは精液の成分である蛋白質を分解して精液の粘性をさげるとか、女性生殖器内の粘液の蛋白質を分解して精子子宮卵管へと進みやすくするなどと言われる。

※ 前立腺肥大や前立腺がんなどのときに血液中に増える前立腺特異抗原(PSA)も、本来は精液の成分である蛋白質分解酵素のひとつである。
プロスタグランジンは、最初に前立腺液から分離されたので、この名がある(しかし、そのあとで精嚢液によりたくさん含まれることがわかった)

前立腺の構造

 前立腺は、膀胱のすぐ下にある丸型の器官で、サイズは数 cm 程度。クリの実大の大きさとよく例えられる。膀胱から出て陰茎に向かう1本の尿道が、この前立腺の真ん中を上から下にまっすぐに突っ切っている。また、精巣でつくられた精子を運んでくる1対の精管は、斜め後ろから前立腺に入り込み、前立腺の内部で尿道に合流する。前立腺の内部を通る精管を射精管という。

 前立腺の内部には、前立腺液を分泌する小さながつまっていて、最終的に数十本の導管にまとまって、それぞれが直接尿道につながる。腺のすき間は間質と呼ばれる場所で、コラーゲン線維弾性線維などと平滑筋がまざって走っている。射精時には、自律神経交感神経)の働きでこの平滑筋が収縮し、腺内の前立腺液が尿道へと絞り出されて、射精管から流れてきた精子と精嚢液に合流する。

 前立腺は、膀胱の下に埋まっているので、腹膜には接していない(腹膜は膀胱の上側に接している)。前立腺は後ろ側で直腸に接している。直腸側から前立腺の触診ができる。

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