コレステロール のバックアップの現在との差分(No.3)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

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#author("2020-03-09T20:20:39+09:00","","")
 ''コレステロール'' とは、[[ステロイド]]類に含まれる、ひとつの物質名。動物の体で使われている代表的なステロイドである。コレステロールは[[細胞膜]]などの[[生体膜]]の成分なので、どの[[細胞]]にもたくさん含まれている。また、他のステロイド類をはじめとして、いろいろな物質の材料でもあり、非常に重要。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|コレステロール|コレステロール|
|>|英語|cholesterol|コ''レ''ステロール|
|日本語|医学|>|[[コレステロール]] |
|>|英語|cholesterol |コ''レ''ステロール |

 最初に発見されたのが、[[胆嚢]]の中にあった[[胆石]]から見つかったので、ギリシャ語で chole コル [[胆汁]]と stereos 「固まり」をつなげた名前 cholesterin 「コレステリン」がつけられた。-OH基をもったアルコール類であることをわかりやすくするため、最後に -ol をくっつけて、コレステロールの呼び方が一般的になった。コレステロールに構造が似ている、-OH基があるアルコール類をまとめて[[ステロール]]類と呼ぶ。ステロール類は[[ステロイド]]類に含まれる。
 最初に発見されたとき、[[胆嚢]]の中にあった[[胆石]]から見つかったので、ギリシャ語で chole コル [[胆汁]]と stereos 「固まり」をつなげて、cholesterin 「コレステリン」という名前がつけられた。その後、この物質が-OH基をもったアルコール類であることをわかりやすくするため、最後に -ol をくっつけて、コレステロールの呼び方が一般的になった。コレステロールに構造が似ている、-OH基があるアルコール類をまとめて[[ステロール]]類と呼ぶ。また、もう少し範囲を広げて、ステロール類に似ている物質を含めて(-oid 「似ている」をつけて)、[[ステロイド]]類という。

|&ref(choresterol.gif,nolink,コレステロールの分子構造);|
|''図:コレステロールの分子構造'' ((Created by using [[BKChem chemical drawing program.>http://bkchem.zirael.org/]])) |f
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** 体内でのコレステロール [#mb27326c]
 コレステロールは体内でもつくられるし、食べ物からも取り込める。食べ物に含まれているコレステロールが小腸から吸収されると、それは一旦肝臓に送られる。また、体内でコレステロールが主につくられるのは、[[肝臓]]である。その後、全身のすべての細胞へと運ばれる。体の中で余ったコレステロールは再び[[肝臓]]に集められ、[[胆汁酸]]にされて胆汁の成分として腸([[十二指腸]])に出される。
 コレステロールは体内でもつくられるし、食べ物からも取り込める。食べ物に含まれているコレステロールが[[小腸]]から吸収されると、それは一旦[[肝臓]]に送られる。また、体内でコレステロールが主につくられるのは、肝臓である。その後、全身のすべての[[細胞]]へと運ばれる。体の中で余ったコレステロールは再び[[肝臓]]に集められ、[[胆汁酸]]にされて[[胆汁]]の成分として腸([[十二指腸]])に出される。

*** コレステロールの生合成 [#f5916899]
 肝臓で、アセチルCoAを材料としてつくられる。メバロン酸、スクワレンを経て合成される。
 [[肝臓]]で、[[アセチルCoA]]を材料としてつくられる。メバロン酸、スクワレンを経て合成される。

 すべてのステロイド類は、コレステロールからつくられる。たとえば、ステロイドホルモンは、コレステロールから合成されるが、それは肝臓ではなく、ステロイドホルモンを分泌する細胞で行われる。
 すべてのステロイド類は、コレステロールからつくられる。たとえば、[[ステロイドホルモン]]もコレステロールから合成される。肝臓でつくられたコレステロールは、ステロイドホルモンを分泌する細胞まで運ばれた後、その細胞でホルモンに作り変えられる。

*** 善玉コレステロールと悪玉コレステロールとは [#a270f06a]
 よく善玉コレステロールと悪玉コレステロールとがあるといわれる。しかし、コレステロールという物質そのものが何種類もあるわけではない。
 よく善玉コレステロールと悪玉コレステロールとがあるといわれる。しかし、コレステロールという物質そのものに何種類も区別があるわけではない。

 コレステロールは、他のステロイド類と同じように、水には溶けないので、血液中を運ばれるときには、蛋白質や他の脂質と結合して水に溶ける複合体([[リポ蛋白質]])の形で運搬される。よくいわれる、善玉コレステロールと悪玉コレステロールというのは、この複合体に性質の違うものが何種類かあるという話。コレステロールと一緒に複合体を作る相手の物質の組み合わせが異なっている。
: LDL([[低密度リポ蛋白質]];low density lipoprotein) |  悪玉コレステロールと呼ばれている。肝臓から全身の細胞へとコレステロールを送るときに使うタイプの複合体。
: HDL([[高密度リポ蛋白質]];high density lipoprotein) |  善玉コレステロールと呼ばれている。主に全身の細胞から不要なコレステロールを肝臓に集めて排出するときに使うタイプの複合体。
 コレステロールは、他のステロイド類と同じように、水には溶けないので、[[血液]]中を運ばれるときには、[[タンパク質]]や他の[[脂質]]と結合して水に溶ける複合体([[リポ蛋白質]])の形で運搬される。よくいわれる、善玉コレステロールと悪玉コレステロールというのは、この複合体に性質の違うものが何種類かあるという話。コレステロールと一緒に複合体を作る相手の物質の組み合わせが異なっている。
: LDL([[低密度リポ蛋白質]];low density lipoprotein) |  悪玉コレステロールと呼ばれている。[[肝臓]]から全身の[[細胞]]へとコレステロールを送るときに使われるタイプの複合体。
: HDL([[高密度リポ蛋白質]];high density lipoprotein) |  善玉コレステロールと呼ばれている。主に全身の[[細胞]]から不要なコレステロールを[[肝臓]]に集めて排出するときに使われるタイプの複合体。

 血液中のコレステロールが増えると動脈硬化になりやすくなるが、これはLDLが多いときになる。HDLとLDLでは、コレステロールと一緒に複合体を作る相手の物質の組み合わせが異なっている。
 [[血液]]中のコレステロールが増えると動脈硬化になりやすくなるが、これはLDLが多いときにおこりやすい。HDLとLDLでは、コレステロールと一緒に複合体を作る相手の物質の組み合わせが異なっている。

 これ以外にも、小腸で吸収されたコレステロールや脂質が肝臓に運ばれるときのリポ蛋白質が別にあり、これは[[カイロミクロン]](キロミクロン)と呼ばれる。
 これ以外にも、[[小腸]]で吸収されたコレステロールや[[脂質]]が[[肝臓]]に運ばれるときのリポタンパク質が別にあり、これは[[カイロミクロン]](キロミクロン)と呼ばれる。

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> カテゴリー: [[物質名>category/物質名]] | [[ステロイド>category/ステロイド]]

 
 

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