喉仏 のバックアップ差分(No.1)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

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> この構造は、解剖学的には[[軸椎]](第2頚椎)または[[喉頭隆起]]に相当します

 ''喉仏''とは、または、''のどぼとけ''とは、人体の[[のど]]のところにある、仏像のようなかたちの[[骨]]の意味。俗称で、解剖学用語ではない。解剖学的にみると、喉仏は1つの構造ではない。くび(=[[頚部]])にある2つの別々の構造がセットになって、「喉仏」という概念が成り立っている。
: お骨(こつ)の喉仏|亡くなった人を火葬した後、[[お骨]]を拾うときに、首だったあたりに見つかる、座った仏像のような形の[[骨]]を喉仏と呼ぶ。 ~~ → [[椎骨]]の[[軸椎]](=[[第2頚椎]])のこと
: 生きている人の喉仏|くび([[頚部]])の[[前面]]に見える、出っ張っている部分のことを喉仏と呼ぶ。~~ → [[甲状軟骨]]によるふくらみ(=[[喉頭隆起]])

 命名の由来は、[[お骨]]の喉仏が最初で、[[のど]]の出っ張りが後。まず、お骨を拾うときに、仏様の形をした[[骨]]が、くびのあたりにあるので、喉仏と呼んだ。生きている人を見ると、くびに出っ張っている骨(実は、骨ではなく[[軟骨]])があることから、間違ってこの軟骨を喉仏の骨だろうと思い込んでしまった。実は別のもの。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|日常|喉仏、のど仏|のどぼとけ|
>  日本独自の概念なので、英語はないが、直訳すると the throat Buddha ザ・ス''ロ''ート・''ブ''ーダ。生きているの人の喉仏の英語は、このページの最後を参照。

** お骨にある喉仏 [#m55778fa]
 火葬の後に、お骨を拾うとき、くびのあたりに独特な形をした骨があることは古くから意識されてきた。この骨を、仏が座禅を組む坐像や合掌する姿になぞらえて、喉仏と呼ぶようになった。

 この喉仏は、[[頚椎]]の[[軸椎]]([[第2頚椎]])、つまり[[背骨]]の上から2番目の骨である。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|[[軸椎]]|じくつい|
|~|~|[[第2頚椎]]|だい2けいつい|
|~|一般|喉仏、のど仏|のどぼとけ|
|>|ラテン語・英語|axis|''ア''クシス|
|>|英語|second cervical vertebra|''セ''カンド・''サ''ーヴィカル・''ヴ''ァーテブラ|
|英語|略語|vertebra C2|''ヴ''ァーテブラ・スィー・トゥー|

 亡くなった人が成仏するのを祈って、喉仏を特別な骨として扱う習慣がよくある。喉仏はお骨を拾うときに、最後に拾ったり、亡くなった人にもっとも近い人が拾ったり、喉仏だけ特別の入れ物に納めたり、などである。

** 首の前面の出っ張りの喉仏 [#s688895c]
 こちらは、のど([[喉頭]])を囲んでいる[[軟骨]]のうちの[[甲状軟骨]]が出っ張っているもの。解剖学的には、[[喉頭隆起]]という。

|>|~言語|~表記|~発音、読み方|
|日本語|医学|[[喉頭隆起]]|こうとうりゅうき|
|~|一般|喉仏、のど仏|のどぼとけ|
|>|英語|laryngeal prominence|ラ''リ''ンジャル・プ''ロ''ミネンス|
|>|ラテン語|prominentia laryngea|プロミネンティア・ラリンゲア|
|英語|一般|Adam's apple (*1)|''ア''ダムズ・''ア''ポゥ|
> *1 日本語に訳すと、「アダムのりんご」

 亡くなった人を火葬すると、[[軟骨]]や[[軟組織]]は、失われてしまうが、[[骨]]、[[歯]]などは残りやすい。骨などには、[[カルシウム]]などの無機質が多く含まれているためである。甲状軟骨は、火葬すると燃えてなくなってしまう。また、甲状軟骨は、仏像の形をしているわけではない。

 「アダムのりんご」の言い方は、(キリスト教の旧約聖書で)アダムとイブが楽園を追い出される原因となったりんごが、アダムののどに引っかかっているため、とする俗称。喉頭隆起が男性で特に発達していることから。


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