蝶形骨
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
蝶形骨とは、頭蓋骨のひとつで、頭部の中央付近に1コある骨。複雑な形をして左右に長い骨だが、中央付近が細くて左右で広がっているところが、蝶がはねを広げた形をイメージしてつけられた名前。骨の形の分類では不規則骨(不規則形骨)に含まれる。内部に含気腔があるため、含気骨でもある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 蝶形骨 | ちょうけいこつ |
英語 | sphenoid bone * | スフェノイド・ボウン | |
ラテン語 | os sphenoidale * | オス・スペノイダーレ |
* | sphenoid の sphen はギリシャ語でくさびのことで、くさびのような形をした骨の意味 |
蝶形骨をさわれる場所は、頭部の左右で目と耳の間のあたりにある。蝶形骨の上面は脳の下面(脳底)に接する頭蓋底をつくっていて、蝶形骨の前方は眼球の入っている窪み(眼窩)の奥の壁を作っている。
- 蝶形骨は中央で狭く、左右では前方、後方、下方に突起があって広がっている。前方への突起は小翼といい、後方への突起は大翼、下方への突起は翼状突起という。
- 内部には副鼻腔である蝶形骨洞があるので、含気骨に分類される。
- 蝶形骨の上面は頭蓋底(脳をのせる部分)の中央部を作っていて、蝶形骨には下垂体がはまる下垂体窩(トルコ鞍)というくぼみがある。
- 蝶形骨は頭蓋腔(脳のある空間)と眼窩(目のある空間)の間を隔てていて、これらの2つをつなぐ穴が2つ空いている。ひとつは視神経管で視神経と眼動脈が通る。もうひとつは上眼窩裂で、動眼神経、滑車神経、眼神経(三叉神経の第1枝)、外転神経がとおる。
図:蝶形骨(頭部を左から見たところ) *2 左から蝶形骨(赤色( )をみたところ。蝶形骨が左右で広がっている部分は、前方への突起部(小翼)、後方への突起部(大翼)、下方への突起部(翼状突起)と呼ばれる |
図:後頭骨と接する骨(左斜め後ろから見たところ) *4 前から見た蝶形骨(赤色 ) |
*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*2 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*3 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*4 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本