喉仏
この構造は、解剖学的には軸椎(第2頚椎)または喉頭隆起に相当します
喉仏とは、または、のどぼとけとは、人体ののどのところにある、仏像のようなかたちの骨の意味。俗称で、解剖学用語ではない。解剖学的にみると、喉仏は1つの構造ではない。くび(=頚部)にある2つの別々の構造がセットになって、「喉仏」という概念が成り立っている。
- お骨(こつ)の喉仏
- 亡くなった人を火葬した後、お骨を拾うときに、首だったあたりに見つかる、座った仏像のような形の骨を喉仏と呼ぶ。 ~~ → 椎骨の軸椎(=第2頚椎)のこと
- 生きている人の喉仏
- くび(頚部)の前面に見える、出っ張っている部分のことを喉仏と呼ぶ。~~ → 甲状軟骨によるふくらみ(=喉頭隆起)
命名の由来は、お骨の喉仏が最初で、のどの出っ張りが後。まず、お骨を拾うときに、仏様の形をした骨が、くびのあたりにあるので、喉仏と呼んだ。生きている人を見ると、くびに出っ張っている骨(実は、骨ではなく軟骨)があることから、間違ってこの軟骨を喉仏の骨だろうと思い込んでしまった。実は別のもの。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 一般 | 喉仏、のど仏 | のどぼとけ |
- 日本独自の概念なので、英語はないが、直訳すると the throat Buddha ザ・スロート・ブーダ。生きているの人の喉仏の英語は、このページの最後を参照 |
お骨にある喉仏 †
火葬の後に、お骨を拾うとき、くびのあたりに独特な形をした骨があることは古くから意識されてきた。この骨を、仏が座禅を組む坐像や合掌する姿になぞらえて、喉仏と呼ぶようになった。
この喉仏は、頚椎の軸椎(第2頚椎)、つまり背骨の上から2番目の骨である。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 軸椎 | じくつい |
第2頚椎、第2頸椎 | だい2けいつい | ||
一般 | 喉仏、のど仏 | のどぼとけ | |
略語 | C2、CII* | スィ―・2 | |
英語・ラテン語 | axis | アクスィス | |
ラテン語(ギリシャ語由来) | epistropheus | (ラテン語読み)エピストロフェウス (英語読み)エピストローフィアス | |
英語 | second cervical vertebra, cervical vertebra 2 | セカンド・サーヴィカル・ヴァーテブラ | |
ラテン語 | vertebra cervicalis secundus, vertebra cervicalis II | ウェルテブラ・ケルウィカリス・セクンドゥス |
* C2という略し方は、第2頚神経も同じ。どちらを指しているか、区別に注意 |
亡くなった人が成仏するのを祈って、喉仏を特別な骨として扱う習慣がよくある。喉仏はお骨を拾うときに、最後に拾ったり、亡くなった人にもっとも近い人が拾ったり、喉仏だけ特別の入れ物に納めたり、などである。
首の前面の出っ張りの喉仏 †
こちらは、のど(喉頭)を囲んでいる軟骨のうちの甲状軟骨が出っ張っているもの。解剖学的には、喉頭隆起という。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 喉頭隆起 | こうとうりゅうき |
一般 | 喉仏、のど仏 | のどぼとけ | |
英語 | laryngeal prominence | ラリンジャル・プロミネンス | |
ラテン語 | prominentia laryngea | プロミネンティア・ラリュンゲア | |
英語 | 一般 | Adam's apple* | アダムズ・アポゥ |
* 日本語に訳すと、「アダムのりんご」 |
亡くなった人を火葬すると、軟骨や軟部組織は、失われてしまうが、骨、歯などは残りやすい。骨などには、カルシウムなどの無機質が多く含まれているためである。甲状軟骨は、火葬すると燃えてなくなってしまう。また、甲状軟骨は、仏像の形をしているわけではない。
「アダムのりんご」の言い方は、(キリスト教の旧約聖書で)アダムとイブが楽園を追い出される原因となったりんごが、アダムののどに引っかかっているため、とする俗称。喉頭隆起が男性で特に発達していることから。
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