輸送体
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
輸送体とは、またはトランスポーターとは、細胞膜に埋まっている膜タンパク質で、ある物質を、細胞膜の反対側まで運ぶ機能をもつタンパク質のこと。つまり、「輸送」といっても、「目的地まで運ぶ」のではなく、「ゲートを通過させる」感じ。運べる物質は輸送体ごとに決まっているので、輸送体には非常にたくさんの種類がある。その物質の名前をつけて、グルコース輸送体とか、ドーパミン輸送体とか呼ぶ。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 輸送体 | ゆそうたい |
トランスポーター | |||
英語 | transporter | トゥランスポーター |
細胞膜は、脂質二重膜でできていて、疎水性なので、水や水に溶けている水溶性のすべての物質ははじかれてしまい、細胞膜を通り抜けることができない。輸送体はこれらを細胞膜の反対側まで渡すはたらきがある。輸送体には特定の物質だけが通り抜けられる穴が開いていたり、物質がぽこっとはまると形がかわってその物質を膜の反対側へ押し出すようになっていたりする。
広い意味で使うときは、無機イオンを膜の反対側へ送るイオンチャネルやイオンポンプも含むが、狭い意味ではそれらを含まず、もっと高分子の物質を運ぶものだけを指す。
輸送するのにエネルギーを使うタイプと使わないタイプがある。エネルギーを使わないタイプは、細胞膜の両側での物質の濃度の高い方から低い方へと運ぶタイプ、物質が拡散して均一になろうという力を使うので、エネルギーを消費しない。一方、エネルギーを使うタイプは、運搬するときにATPなどと結合してそのエネルギーを使って輸送する能動輸送型で、物質の濃度に関係なく運搬できる。