背側
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
背側とは、おなか側-背中側の背中側のこと。背中の方向、または背中に近い部分をさす。対義語は、腹側。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 背側 | はいそく |
英語 | dorsal | ドーサル |
ヒトの場合、体の方向を考えるときには、直立している(解剖学的正位)ときのことを考えるので、背側とは、体の後方と同じ意味になる。
ただし、大脳などの脳の背側・腹側は示す方向が異なることに注意が必要。大脳では、脳の背側とは脳の上方、つまり頭のてっぺん(=頭頂)の方向のことで、大脳の腹側とは脳の下方のこと。
この方向のずれがなぜ起こるかというと、背側、腹側という用語が、もともと頭尾軸(頭方、尾方の方向=背骨の方向)に対して定義されているため。ネズミ、イヌ、ネコなどの四足歩行をする動物では、頭尾軸は前後にのびているので、背側は上方、腹側は下方を示す。一方、直立して二足歩行をするヒトでは、頭部の軸は四足動物と同じ前後の向きのまま、体幹の頭尾軸は垂直方向となる(ヒトの体の中心軸の向きが首のところで折れ曲がっていると考える)。そこで、頭部にある構造の背側・腹側は上下を、体の背側・腹側は前後を指す。