ヘンレループ のバックアップ(No.1)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
ヘンレループとは、または、ヘンレ係蹄(けいてい)とは、腎臓内を走るすべての尿細管の途中が、長いループをつくっている部分のこと。係蹄とは、地面にヒモの輪を作り動物の足を引っかける罠(ワナ)の意味。
1本の尿細管は、腎小体(ボーマン嚢と糸球体)からはじまり、最後は集合管として何本も合流する。腎小体がある場所も集合管が始まる場所も腎皮質で、集合管は腎皮質から腎髄質にのびる。腎小体から出た尿細管は、しばらく近位尿細管として皮質を走行したあと、いったんまっすぐ髄質に進み、髄質内でUターンして、また皮質にまっすぐ戻って、遠位尿細管としてしばらく走って集合管になる。この「いったん髄質に行って戻る部分」をヘンレループという。皮質から髄質にまっすぐ進む前半部をヘンレループの下行脚、髄質から皮質にまっすぐ戻る後半部を上行脚という。管の構造は、ヘンレループの下行脚の最初のほうは近位尿細管で、上行脚のかなり多くが遠位尿細管で、その間の髄質を走る部分がヘンレループ独自の中間尿細管である。中間尿細管は、管の壁を作っている細胞が平べったい(=単層扁平上皮)ため、近位尿細管や遠位尿細管管に比べて管がかなり細い。ヘンレループのうち、中間尿細管でできている部分を、ヘンレループの細い部分、ヘンレループのうち、近位尿細管または遠位尿細管でできている部分をヘンレループの太い部分とも呼ぶ。