交感神経系

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

交感神経でこの項目を参照しています

関連する内容が、自律神経系にあります

 交感神経系とは、または交感神経とは、内臓の機能などを、意識せずに自動的に調節する働きをもつ神経のグループのひとつで、もうひとつの副交感神経系とともに、自律神経系に含まれる。交感神経と副交感神経の働きは反対で、お互いの活動のバランスで、内臓機能を調節している。交感神経は体を活動的に、運動しやすくするように調節するのに対し、副交感神経は体を休息させ、同時に栄養の摂取や生殖などを活発化させる。交感神経と副交感神経の両方に共通する内容については、自律神経系の項目を参照。

言語表記発音、読み方
日本語医学交感神経系 *こうかんしんけいけい
交感神経 *こうかんしんけい
英語sympathetic nervous system *スィンパスィティック・ーヴァス・スィステム
sympathetic nerve *スィンパスィティック・ーヴ
*  交感 sympathetic とは、共感の意味で、体のいろいろな場所や器官などの機能の間に、互いに関連する共通の調節を行うことから付けられた

 交感神経も副交感神経もどちらも中枢神経系脊髄)からの指令を内臓などまで伝える、遠心性末梢神経である。頭部から胸部腹部などの多くの内臓機能の他、全身の皮膚血管などにも分布し、皮膚からの分泌毛包立毛筋の運動(鳥肌)、全身の血管(特に動脈)の収縮なども調節している。おおざっぱな傾向として、交感神経の働きは、体を活動的にし、緊張させ、運動に適した状態にする。副交感神経は逆に体をリラックスさせ、休息させる。

 交感神経が中枢神経系から出る場所は脊髄胸髄腰髄で、脊髄を出るときは脊髄神経の一部ととして出る。これ以外の脊髄の場所やからは出ていない。交感神経が臓器に到達するまでに、2つのニューロンにより情報が伝えられる。1つめのニューロンは細胞体が脊髄の胸髄腰髄にあり、その神経線維は脊髄前根を通り、胸部から腹部にかけて分布する神経節交感神経節)に達する。2つめのニューロンの細胞体はこの交感神経節にあり、神経線維は臓器に到達する。交感神経「節」の位置を基準にして、1つめのニューロン(脊髄から交感神経節まで情報を伝えるニューロン)を節前ニューロン、2つめのニューロン(交感神経節から臓器まで伝えるニューロン)を節後ニューロンと呼ぶ。交感神経のシナプスで使われる神経伝達物質は節前ニューロンではアセチルコリンで、節後ニューロンではノルアドレナリン(=ノルエピネフリン)である。

 交感神経節胸部から腹部にかけていくつもある。どこにあるかで2種類にわけられる。ひとつは、背骨(脊柱)の両側に、これと平行して上下に走る交感神経幹神経節で(交感神経幹神経節)、もうひとつは、背骨の前面、腹部の大動脈の周辺にある交感神経節(椎前神経節)。交感神経はこれらのどちらかで、途中中継される。腹部の内臓に向かう交感神経は主に椎前神経節で中継され、それ以外の全身に向かう交感神経は交感神経幹に神経節がある。

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