大菱形筋

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 大菱形筋とは、背部浅層にあるのひとつ。背骨(脊柱)の首のすぐ下のあたりから肩甲骨内側斜め上方に引っ張り上げる筋。大菱形筋のすぐ上には同じ働きをする小菱形筋がくっついて並んでいて、まとめて菱形筋と呼ぶこともある。

言語表記発音、読み方
日本語医学大菱形筋だいりょうけいきん
英語rhomboid major (muscle)ンボイド・イジャー(・ッスル)
greater rhomboid muscleイター・ンボイド・ッスル
ラテン語musculus rhomboideus major,
m. rhomboideus major
ムスクルス・ロンボイデウス・マヨール
図:大菱形筋(ま後ろから見たところ) *1
大菱形筋
図:大菱形筋(右斜め後ろから見たところ) *2
大菱形筋

位置、起始と停止

 大菱形筋は首の後ろ(項部)のすぐ下のあたり、背中の上部(上背部)にあり、僧帽筋をめくるとその深層にある。脊柱胸椎のうち、第1〜第4胸椎の棘突起から起こる。外下方に斜めにのびて、肩甲骨内側縁の下部につく。

図:大菱形筋と大菱形筋のつく骨 *3
大菱形筋(ピンク  )の起始は椎骨(緑色  )のうち、第1〜第4胸椎の棘突起に、停止は肩甲骨(青色  )の内側縁の下部
大菱形筋

 すぐ上方には小菱形筋が接している。小菱形筋と大菱形筋はその境界の筋膜が不完全なことがあり、その場合はっきりと区別しにくい。

働き

 肩甲骨を内上方に引っ張り上げる。をすくめる動き、胸を張る動きなど。また手で重いものを持つときや肩にものを掛けるときなどに肩甲骨を保持する働きなど。

 同じく肩甲骨内側に引き上げる小菱形筋肩甲挙筋がある。これらの3つの筋は並んでいる。反対に肩甲骨を外下方に引っ張る筋には前鋸筋がある。

図:大菱形筋とその兄弟筋 *4
大菱形筋(ピンク  )と同じく、肩甲骨内側に引き上げるには、肩甲挙筋(赤色  )や小菱形筋(オレンジ色  )がある
大菱形筋

支配神経と血管

 腕神経叢肩甲背神経


*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本 80x15.png
*2 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本 80x15.png
*3 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本 80x15.png
*4 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本 80x15.png
 
 

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