ステロイド
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
ステロイドとは、物質のグループの名前。低分子の油状物質で、水には溶けにくい。体内では、細胞膜などの生体膜の材料なので、どの細胞でも使われている基本的で重要な物質。動物の体で使われている代表的なステロイドはコレステロール。このほか、一部のステロイドは、ホルモンとして使われていて、それらはまとめてステロイドホルモンと呼ばれる。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | ステロイド | ステロイド |
英語 | steroid * | スティロイド |
* | sterin ステリン または sterol ステロール + ~oid ~類、「~のようなもの」 を合成した言葉 |
図:ステロイド核 *1 赤い数字はステロイド核を構成する炭素原子の番号。 |
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ステロイドは、ステロイド核と呼ばれる共通した構造を持っているのが特徴。図は、ステロイド核とそれを作っている炭素原子を番号で区別するための番号の付け方。
ステロイドの生合成 †
ステロイドは主に肝臓などで合成される。細胞が体内でステロイドを合成するときには、アセチルCoAを材料として、スクアレンが合成され、ここからコレステロールがつくられる。コレステロールはすべての細胞に運ばれる。ステロイドホルモンについては、コレステロールからつくられるプレグネノロンがステロイドホルモンの材料(中間材料)になっている。プレグネノロン以降の合成過程は、ステロイドホルモンを分泌する内分泌系の細胞で行われる。
スポーツ選手などが手を出す筋肉増強剤などを、俗に「ステロイド」と呼んだりするが、これは「ステロイド剤」の意味で、それらの物質が、強力な作用をもつ、人工的なアンドロゲン(男性ホルモン)類似物質で、それらもステロイドのグループに属する物質なので、簡単にこう呼ばれる。
*1 Created by using BKChem chemical drawing program.