エナメル質
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
エナメル質とは、歯のうち、外から見える、生えている部分(歯冠という)を覆っている層のこと。歯の中でカルシウムなどの無機質がもっとも多く含まれ、もっとも硬い部分。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | エナメル質 | エナメルしつ |
英語 | enamel | エナメル | |
ラテン語 | enamelum | (英語読み)エナメラム (ラテン語読み)エナメルム |
エナメルとは、日本語でほうろう(琺瑯)ともいい、金属製品の表面にガラス成分を含む釉薬(うわぐすり)を塗って焼いてつくる、ガラスの薄い被膜のこと。この被膜はツヤがあって硬く、金属が錆びるのを防ぐ。エナメル質は、歯の表面を覆っている硬くてツヤのある層なので、ほうろう製品と似ていることからこう呼ばれる。
歯の大部分をつくっているのは象牙質だが、象牙質の表面の、歯冠(生えている歯の見える部分)の部分だけを覆っているのがエナメル質。エナメル質は90%以上がカルシウムなどでできたハイドロキシアパタイトという無機物で、コラーゲン線維などの有機物はわずかしか含まれていない。エナメル質の中には神経なども入っていないので、エナメル質だけが削られたり欠けたりしても痛くない。
エナメル質は、歯が生える前に、歯の表面を覆っていたエナメル芽細胞の分泌物が蓄積して作られた層で、歯が生えるときに、歯の表面にあったエナメル芽細胞の層はなくなる。歯が生えた後にエナメル質が欠けたり、虫歯で侵食されても(齲蝕 うしょく)、修復されたり、再形成されることはない。