パラクリン
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
傍分泌でこの項目を参照しています
パラクリンとは、または 傍分泌とは、細胞から体内に向かって分泌されるときの形式のひとつ。「ある細胞から分泌された物質がどの細胞に効果をおよぼすか」について分類したとき、分泌する細胞と効果を受ける細胞とがごく近くにある場合のこと。あるいはすぐ近くの細胞にしか効果がないこと。パラクリンは、分泌された物質が栄養分などのように、どの細胞でも必要なものではなく、成長因子、情報伝達物質などのように、決まった細胞にだけ効果をあたえる物質のときに使う言葉。
* | para- は、隣の、そばの、の意味。crine は、分泌することをさす。それを漢字で表記したものが傍分泌。パラクリンも、傍分泌も、どちらも使う |
内分泌との関係 †
内分泌(エンドクリン)は、体の内部(endo- エンド~)に物質を分泌(crine)することなので、内分泌の言葉の本来の意味からすれば、パラクリンも内分泌のうちの一種である。しかし、内分泌の意味をもっと狭くし、パラクリンを内分泌に含めない場合が多い。狭い意味の内分泌は、血流を介して、体の中の遠くの臓器に効果を及ぼすものだけをよぶ。
内分泌は、ホルモンの発見とともにうまれた古い概念で、当時は、パラクリンの概念がなく、内分泌といえば、分泌された物質が血液中に入り込み、血流に乗って体の遠く離れた別の臓器にはたらくもの(=ホルモン)を指していた。そのため、この意味のねじれが生まれた |
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