臍ヒダ のバックアップ(No.2)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 臍ヒダ(さいヒダ、または𦜝ヒダ、 umbilical folds)とは、前腹壁の内面、つまりおなかの内臓を囲む壁、腹筋の裏側にあたる部分に見られる、すじ状の盛り上がり(ヒダ)のことで、その端が(𦜝)まで続いているのでこう呼ばれる。正中臍ヒダ、内側臍ヒダ、外側臍ヒダの3種類があり、どれも臍付近から下方にのびている。

 前腹壁の内面の表面は、腹膜(壁側腹膜)でおおわれているが、臍ヒダのところの腹膜はすじ状に盛り上がっている(腹膜ヒダ)。これは、その腹膜の下に何かひも状のものが通っているためである。3つの臍ヒダ(正中臍ヒダ、内側臍ヒダ、外側臍ヒダ)では、そのヒダの下に通っているものはみな違う。

正中臍ヒダ
 正中にあり、から真下に向かってのびて、膀胱につながっているヒダ。この正中臍ヒダの中には正中臍索というひも状(索状)組織が通る。正中臍索とは、胎児の頃には尿膜管という管だった構造でこれが出生後に退化した。尿膜管は膀胱と臍をつなぎ、胎児の尿を体外の尿膜へと流す管。
内側臍ヒダ
 正中臍ヒダの両側に1対あり、臍と膀胱の左右をつなぐように走る。このヒダの中には、臍動脈索がある。臍動脈索は胎児の頃には臍動脈だったのが出生後にひも状組織として残ったもの。臍動脈は臍から臍帯を通る血管で、内腸骨動脈胎盤をつなぐ。
外側臍ヒダ
 もっとも外側に1対あり、臍と鼠径部をつなぐように走るヒダ。内部には下腹壁動脈下腹壁静脈が走っている。外側臍ヒダは臍付近を通るが、厳密にはにはつながっていない。下腹壁動脈は外腸骨動脈から分かれて上に向かい、臍の左右付近で上腹壁動脈とつながる。
 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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