正中

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 正中とは、何かの中央、とくに左右の中心のこと。ヒトの体全体についていうときの正中とは、右半身・右半身をちょうど等しく分けるような、頭部から体幹にかけて、左右の中心をさす。その他、上肢下肢についても正中を使う。

言語表記発音、読み方
日本語医学正中せいちゅう
英語median*ディアン
* 統計学で使う「中央値(メディアン、メジアン)」と同じ言葉(中央値とは、数字がいくつかあるとき、その数字を大きさの順に並べて、端から数えていって、全体の半分の個数のところにある、ちょうど中間の数字の値のこと)

 正中(左右の中心線)を基準とした向きの言い方には、内側/外側、または内方/外方がある。正中に近い側を内側、近づく方向を内方と呼び、正中から遠い側を外側、遠ざかる向きを外方と呼ぶ。

体の正中

 正中の位置で、体を右と左の2つの部分に分けるような断面を正中面(正中矢状面)または正中断面(正中矢状断面)、正中面をつくるような切断のやりかたを正中断(正中矢状断)という。また、正中面にあたる位置で体表(体の表面)に引いた線を正中線という。

 正中断、正中面は、矢状断矢状面のうちの特殊な一種である。矢状断は、体を左右2つに切断するような断面をすべていうので、断面の位置を左右に少しずつずらせば、無数の異なった矢状面が得られる。そのうち、ちょうど左右のどまんなかの1枚の断面が正中面(=正中矢状面)である。

「正中」のつく構造の例

正中神経
正中神経(median nerve ディアン ーブ)は、から先(=前腕)の一部の皮膚感覚の運動を支配する神経。前腕で、橈側尺側のちょうど中間、つまり前腕の中央(正中)を通るのでこう呼ばれる。
第4脳室正中口(マジャンディ孔)
第4脳室の中央、小脳の下方にある穴。脳室(=の内側の空洞)と、くも膜下腔(=脳の外側のすき間)をつなぐ穴で、第4脳室の背側中央にある。

カテゴリー: 位置

 
 

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