ミトコンドリア
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
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ミトコンドリアとは、細胞小器官のひとつで、細胞の細胞質内にたくさん散らばっている。ミトコンドリアは、細胞の活動に必要なエネルギーをATPなどの形で作り出す。ミトコンドリア内部にはそれに使われる一連の酵素類がある。
* | mitochondria の mito- が「糸」、chondro- が「粒」の意味。日本語の名前、糸粒体はこの直訳 |
** | mitochondria は複数形。単数形は mitochondrion |
真核生物(動物、植物、菌類など)のすべての細胞にある。細胞内で大量のエネルギーを使う細胞、たとえば、筋細胞や肝細胞、神経細胞などで特に多い細胞小器官である。形は、粒状または糸状という言い方をされバラエティに富んでいるが、生物の種類と細胞の種類によってだいたい決まっている。
サイズは太さが0.5~1μmぐらい。二重膜(外膜と内膜)に囲まれ、外膜はデコボコがないが、内膜は内部に向かってひだ状または指状に飛び出している。これはクリステと呼ばれる。内膜の内側の基質にはクエン酸回路や脂肪酸のβ酸化に関する酵素があり、内膜の膜上に電子伝達系の酵素がある。
ミトコンドリアの起源は、もともとは独立の細菌だったものが、細胞に取り込まれ、細胞と細菌が共生関係になり、長い年月のうちに細胞から出て生きる能力を失って細胞小器官になったという説が有力である(ミトコンドリア共生起源説)。ミトコンドリア内に DNA があり、ミトコンドリア内の一部の蛋白質を合成しているのも、これを裏付ける。