側頚部
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
側頚部とは、または側頸部とは、頚部(頸部、くび)の側面の場所のこと。頚部を、前頚部、側頚部、後頚部と3つに分けることができる。前頚部と側頚部の境界は胸鎖乳突筋がつくる。側頚部と後頚部の境界は僧帽筋のふち(外側縁)がつくる。ただし、側頚部に胸鎖乳突筋の場所が含まれる使い方(広い意味)と、含まれない使い方(狭い意味)があって、あいまいである。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 側頚部、側頸部* | そくけいぶ |
英語 | latral cervical region | ラテラル・サーヴィカル・リージョン | |
ラテン語 | regio cervicalis lateralis | レギオ・ケルウィカリス・ラテラリス |
* | 「頚」は「頸」の略字(異体字)なので意味・読み方は同じで、どちらを使ってもよい |
広い意味の側頚部 †
頚部を前頚部、側頚部、後頚部の3つに分けるとき、側頚部と後頚部の境界は僧帽筋の縁(外側縁)がつくる。僧帽筋のあるところが後頚部で、僧帽筋のないところが側頚部。一方、前頚部と側頚部の境界は胸鎖乳突筋がつくる。胸鎖乳突筋の前縁が境界となるため、胸鎖乳突筋におおわれる場所は側頚部に含まれる。この意味では、側頚部は、胸鎖乳突筋におおわれる場所(=胸鎖乳突筋部)と、胸鎖乳突筋と僧帽筋との間の場所(外側頚三角)をあわせた場所である。
図:広い意味の側頚部(左斜め前から見たところ) *1 広い意味では、側頚部(赤色 )は、点線の左側(前方)の胸鎖乳突筋のあるところと、点線の右側(後方)は胸鎖乳突筋と僧帽筋のすき間の2つの場所をあわせた場所のこと |
狭い意味の側頚部 †
頚部のうち、後頚部以外の場所は、まとめて前外側頚部と呼ばれる。前外側頚部は、斜めに走る胸鎖乳突筋によって前後2つの三角形に分けられ、胸鎖乳突筋よりも前方の場所を前頚三角、胸鎖乳突筋よりも後方を外側頚三角(=後頚三角)と呼ぶ。前頚三角の別名が前頚部、外側頚三角(=後頚三角)の別名が側頚部である。つまり、狭い意味での側頚部には胸鎖乳突筋のある場所は含まれない。 狭い意味での側頚部は、外側頚三角(外側頚三角部)といったほうが誤解しない。
図:狭い意味での側頚部(左斜め前から見たところ) *2 狭い意味の側頚部(赤色 ) は、外側頚三角の別名である |
*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*2 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本