僧帽筋
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
僧帽に関連する内容があります
僧帽筋とは、首の後ろ(項部)から背中の上部、肩にかけて広がる大型の筋で、この部位でもっとも表層にある筋。働きは、背骨(脊柱)から肩甲骨と鎖骨を引っ張ることで、上肢全体を支えている。肩こりの原因となる筋のひとつ。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 僧帽筋 * | そうぼうきん |
英語 | trapezius (muscle) ** | トゥラピーズィアス(・マッスル) | |
cowl muscle * | カウル・マッスル | ||
ラテン語 | musculus trapezius ** | ムスクルス・トラペズィウス |
* | 僧帽筋は cowl muscle の訳で、カトリックの僧侶のつける頭巾(フード)の形から |
** | trapezius は、ラテン語で台形の意味。背中側から見ると左右あわせた僧帽筋は、ダイヤ型をしているため |
図:僧帽筋(後ろから見たところ) *1 僧帽筋(赤 )は首の後面から背中の上半分にかけて最表層に広がるひし形の筋 |
絵画(一部): カトリック(カプチン会)修道士の僧服。修道士のローブのフード部分の形が僧帽筋の名前の由来 フランソワ・マリウス・グラネ作 (1825) 『カプチン修道院のマレシャル・ド・ジョワイユーズ』 (Francois Marius Granet : Le Maréchal de Joyeuse au couvent des Capucins, 1825) スコットランド・ナショナル・ギャラリー所蔵 *2 |
起始と停止 †
起始は頭蓋の外後頭隆起と項靱帯、及び第7頚椎〜第12胸椎の棘突起。停止は鎖骨の外側部、肩甲骨の肩峰から肩甲棘の全体にかけて。
働き †
肩甲骨と、肩甲骨の支点となる鎖骨につき、肩甲骨さらには上肢を支えている。肩をすくめる動きのとき、肩甲骨を上に引き上げる動き(挙上)や、上肢を真上に挙げるとき、肩甲骨を回転させ、肩関節を斜め上に向ける動き(外転)など。
神経と血管 †
大きな筋で、上部と下部で支配神経が異なる。上部は第11脳神経の副神経、下部は頚神経叢(第1~4頚神経前枝)の支配。
*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*2 Source: National Galleries Scotland. Reproduced and Modified. Permission: CC-BY-NC. この画像はクリエイティブ・コモンズ 表示-非営利 1.0 一般ライセンスに従って再利用可能です
*3 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*4 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本