胸鎖乳突筋
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
胸鎖乳突筋とは、首(頚部)の左右(側頚部)に1対ある筋。胸骨と鎖骨から起こり、頚部の側面を斜め上後方に、耳の後ろ(側頭骨の乳様突起や周辺)まで走る。表層にあり収縮するとこの筋がすじ状にもりあがり位置がわかりやすい。働きは、片方の胸鎖乳突筋が収縮するとその方向に首を傾ける働きがある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 胸鎖乳突筋 * | きょうさにゅうとつきん |
英語 | sternocleidomastoid (muscle) * | スターノ-クライド-マストイド(・マッスル) | |
ラテン語 | musculus sternocleidomastoideus * | ムスクルス・ステルノ-クレイド-マストイデウス |
* | sterno- は胸骨 sernus の連結形、cleido- は(鎖骨 clavicle とは異なるが)鎖骨の、の意味の連結系、mastoid は乳様突起のこと |
片方の胸鎖乳突筋が収縮すると、胸鎖乳突筋が収縮した側に頭部を傾ける働きと、胸鎖乳突筋が収縮したのと反対側に頭部を回転する働きがある。
胸鎖乳突筋のある場所は胸鎖乳突筋部と呼ばれる。胸鎖乳突筋を境界として、それよりも前方を前頚部(前頚三角)、それよりも後方を側頚部(外側頚三角)という。
図:胸鎖乳突筋(左斜め上から見たところ) *1 胸鎖乳突筋(ピンク色 )は耳の後ろから胸骨と鎖骨にかけて斜めに走る筋 |
起始と停止 †
起始は胸骨(胸骨柄)と鎖骨の内側部の2箇所に分かれている(胸鎖乳突筋は二頭筋である)。停止は側頭骨の乳様突起から後頭骨の上項線まで。
図:僧帽筋(左斜め上から見たところ) *2 胸鎖乳突筋(ピンク色 )は、胸骨(緑 )と鎖骨(オレンジ色 )から起こり、側頭骨(水色 )の乳様突起周辺から後頭骨の上項線(色なし)までに停止する |
図:僧帽筋(後ろから見たところ) *3 胸鎖乳突筋(ピンク色 )は、胸骨(緑 )と鎖骨(オレンジ色 )から起こり、側頭骨(水色 )の乳様突起周辺から後頭骨の上項線(色なし)までに停止する |
図:僧帽筋(右斜め上から見たところ) *4 胸鎖乳突筋(ピンク色 )は、胸骨(緑 )と鎖骨(オレンジ色 )から起こり、側頭骨(水色 )の乳様突起周辺から後頭骨の上項線(色なし)までに停止する |
神経と血管 †
第11脳神経の副神経と頚神経叢(第1~4頚神経前枝)の二重支配を受ける。
*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*2 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*3 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*4 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本