動静脈吻合
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
動静脈吻合とは、毛細血管を間に挟まずに、動脈と静脈が直接つながっている構造のこと。血流量の調節などのために、もとからそういうつながりかたをしている場所もあるし、病的な変化として出てくる場合もある。吻合とは、別のものをくっつけてつなげること、またはそうしてつながったもの。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 動静脈吻合 | どうじょうみゃくふんごう |
英語 | arteriovenous anastomosis | アーティリオ-ヴィーナス・アナストモウスィス | |
arteriovenous communication | アーティリオ-ヴィーナス・コミュニケイション | ||
arteriolovenular anastomosis * | アーティリオーロ-ヴィニュラー・アナストモウスィス | ||
ラテン語 | anastomosis arteriovenosa | アナストモースィス・アルテリオウェノーサ | |
anastomosis arteriolovenularis * | アナストモースィス・アルテリオロウェヌラリス |
通常の血管のつながりかたは、動脈→毛細血管→静脈である。毛細血管の壁は薄いため、血液中を運ばれてきた酸素や栄養などが血管から外に出ていったり、二酸化炭素や老廃物が血管に入ってくるのも毛細血管だけ。もし、動脈から直接静脈につながると、この機能は発揮されないので、普通は動脈と静脈が直接つながることはない。
動静脈吻合の例 †
皮膚の血管 †
皮膚には毛細血管を通らない動静脈吻合があり、暑熱時には、細動脈の平滑筋が弛緩し動静脈吻合が開き、血流が増加することで、体熱を放散する。寒冷時には、細動脈の平滑筋が収縮し動静脈吻合が閉じ、血流が減少することで、体熱を保持する。これらの働きはいずれも交感神経の働きである。
陰茎の海綿体 †
陰茎の海綿体には海綿体洞という静脈洞(血液がたまりやすい内部の広い静脈)がたくさん詰まっている。動脈から毛細血管を通って海綿体の外の静脈に流れるのとは別に、動脈から海綿体洞に流れる動静脈吻合がある。陰茎勃起のとき、副交感神経の働きで海綿体洞につながる動脈が広がり、海綿体洞に血液がたくさん流れ込む。