結腸膨起
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
ハウストラでこの項目を参照しています
結腸膨起とは、または、ハウストラとは、結腸を外側からみたときに、繰り返し並んでいる、たくさんの大きなふくらみのこと。小腸にはなく、大腸のうち特に結腸ではっきりしているのでこう呼ばれる。結腸膨起でふくらんでいるところは、その形にあわせて腸の内腔(内側の空洞)も広がっており、腸の内容物もたくさんたまっている場所。
* | ハウストラ、haustra は膨起の意味の複数形。単数形は haustrum ハウストラム |
結腸の周囲の3ヶ所には、縦方向(腸の長い向き)に、結腸ひもと呼ばれる細い筋の束が貼り付くようにのびている。この結腸ひもの筋が収縮しているため、結腸は全体として少し短くなっているが、3本の結腸ひもの間の部分では余った腸の壁が外側に膨らんでいる。このふくらみを一定間隔をおいて区切るように、筋層が収縮してできるふくらみが、結腸膨起である。つまり、ひとつの結腸膨起ととなりの膨起との間は、腸の壁の筋が収縮することで内側に張り出して腸が細くなっている。内側に張り出した部分を結腸半月ひだ(半月ひだ)という。
小腸の蠕動運動では、腸の壁の筋層の収縮が順に肛門の方向に進み、内容物を送り出すが、結腸膨起とその間の結腸半月ひだは、肛門の方向に少しずつ移動していったりはせず、同じ場所にとどまり、結腸膨起ごとに収縮して内容物をとなりの結腸膨起に押し出すようにはたらく。