肺胞

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 肺胞とは、の中に無数につまっている小さな袋状の空洞。1コのサイズは約0.2mmで、肺全体で数億コもある。肺胞の空洞(肺胞腔)はすべて気管支につながっていて、呼吸によって肺が膨らんだりしぼんだりするとき、肺胞では、空気が出入りして膨らんだりしぼんだりする。

言語表記発音、読み方
日本語医学肺胞はいほう
英語pulmonary alveolus *ルモナリー・アルヴィオラス
英語・ラテン語alveolus *,**(英語読み)アルヴィオラス
(ラテン語読み) アルウェオルス
ラテン語alveoli pulmonisアルウェオリ・プルモニス
* alveolus は単数形。複数形は alveoli アルヴィオライ(英語読み)、アルウェオリ(ラテン語読み)
** alveolus だけだと、胞状の(=内部に空洞がある)構造のこと。肺胞以外にも、腺の腺房(腺胞)などでも使うことがあるので、他の臓器の alveolus でないことがわかるときに

 肺胞の空洞を肺胞腔、それを囲んでいる1層の細胞でできた層を肺胞上皮という。となりあった肺胞どうしは、ほぼぴったりとくっついて並んでいる。肺胞の間のわずかなすきまには、毛細血管が張り巡らされている。ここで、肺胞内の空気と血管内の血液の間には薄い肺胞の壁しかなく、酸素や二酸化炭素が交換されやすくなっている(ガス交換)。となりあう肺胞の間のしきり壁(2つの肺胞の肺胞上皮やその間にある毛細血管など)の全体を肺胞壁という。

 肺胞上皮は2種類の細胞からできていて、薄く延びるように広がったI型肺胞上皮細胞(扁平肺胞細胞)と、丸く盛り上がったII型肺胞上皮細胞(大肺胞細胞)。I型肺胞上皮細胞は主としてガス交換を行い、II型肺胞上皮細胞は、肺サーファクタントと呼ばれる界面活性剤を肺胞上皮の表面に分泌して、肺胞がうまく広がってふくらみやすくなるように(肺胞の壁がつぶれてくっついたままにならないように)している。

 の中を通っている気管支は枝分かれを繰り返して、直径1~2mm以下の細気管支になり、さらに枝分かれを繰り返してだんだん細くなり、最後は行き止まりになる。行き止まりに近づくにつれて、細気管支の壁には袋状の肺胞がびっしりと並ぶ。細気管支の壁に肺胞がついていない最後の部分を終末細気管支、肺胞がポツポツとつきはじめている部分を呼吸細気管支、肺胞が壁にびっしりとならんでいるため、もとの細気管支の壁がなくなる部分を肺胞管、肺胞管の最後の行き止まりの部分を肺胞嚢と呼ぶ。

カテゴリー: 呼吸器系 | 胸部

 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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