染色体

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 染色体とは、細胞分裂のときだけ細胞内に何本も現れる棒状の構造で、DNA (とヒストンなどのタンパク質)からできている。

言語表記発音、読み方
日本語医学染色体せんしょくたい
英語chromosomeモソウム

 DNA は核酸が無数につながった糸状の物質で、これがラセンを描きながらぎゅうぎゅうに詰まったものが染色体。細胞分裂以外のときは、染色体を作っている DNA はほどけて、電子顕微鏡でないと見えないほどの細さの糸状になって、内(核膜に囲まれた内側)に広がり充満している。つまり、染色体としては存在しなくなる。染色体は細胞分裂の前期に現れ、中期で2つの細胞に分かれるように分離され、後期に新しい2つの核を作って消える。

 細胞1個が持っている染色体の本数は、生物の種類ごとに決まっていて、どの細胞でも一定(精子卵子だけはその半分)。例えば、ヒトの染色体は46本。そのうち、同じ染色体が2本ずつあるので、染色体の種類としては23種類(2n=46 と書きあらわす)。同じ染色体を相同染色体という。染色体を作っている DNA は遺伝情報をもっているが、相同染色体のうちの1本は父親から、もう一本は母親からもらったものなので、同じ染色体とはいっても、その2本に含まれる遺伝情報は微妙に異なっている。

 オスでもメスでも持っている染色体を、常染色体、オスまたはメスしか持っていない染色体を性染色体という。性染色体には、オスとメスの違いを特徴づける遺伝子が含まれる。

 染色体を持っているのは、真核生物だけ。原核生物には細胞がなく、DNAは染色体をつくらない。

カテゴリー: 細胞内構造 | 顕微鏡レベル

 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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