タンパク質
蛋白質でこの項目を参照しています
タンパク質とは、または蛋白質とは、生物の体をつくっている高分子化合物の一つ。1つのタンパク質分子は、アミノ酸が多数つながりあったペプチドを主成分としている。ペプチドだけからできているタンパク質を単純タンパク質というが、ペプチドと他の物質があわさっているものもある(たとえば、ペプチドに糖のついた糖タンパク質)。
タンパク質には種類が非常にたくさんある。タンパク質をつくっているアミノ酸は最大20種類程度で、この種類やつながる順番がかわると、タンパク質の形や、タンパク質が水に溶けるか、そのタンパク質分子のまわりに結合する物質など、タンパク質の性質が変わるので、別の機能を持ったタンパク質になる。タンパク質をつくっているアミノ酸の種類と順番のことを、アミノ酸配列と呼ぶ。ふつうはアミノ酸配列の長さがアミノ酸数十個ぐらいのペプチドよりも長い配列をポリペプチドとよび、ポリペプチドからできているものをタンパク質という。アミノ酸数個ぐらいのペプチド(オリゴペプチド)はタンパク質とはあまり呼ばない。長いものの例では、アミノ酸2787個からできているサイログロブリンなどのような巨大なタンパク質もある。
アミノ酸配列の情報は、核内のDNAに直接保存されていて、これが核でメッセンジャーRNAに写し取られ(=転写という)、これをもとにしてリボゾームで、指定されたとおりのアミノ酸配列をもったペプチドがつくられる(=翻訳という)。このペプチドが翻訳されたあと、さらに糖がついて糖タンパク質になったりすることを翻訳後修飾とよぶ。翻訳後修飾によってもタンパク質の形や機能が変わる。
体の中で一番多いタンパク質はI型コラーゲンである。I型コラーゲンは、皮膚の真皮や腱、靭帯などのいろいろな結合組織に含まれている。
DNAがもっている遺伝情報とは、決まった時期に決まった場所でどのペプチド(タンパク質)をつくるか、という情報で、体を作っているタンパク質以外の高分子化合物(糖、脂質ほか)の情報は、直接DNAには保存されていない。タンパク質以外の高分子化合物は、タンパク質がそれらの物質をつくるための反応を触媒する酵素として働くことでつくられる。