噴門
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
噴門とは、または噴門部とは、胃をいくつかの部分に分けたとき、食道とつながっている胃の入口のこと。噴門以外の胃の部分の名前には、胃底、胃体があり、胃が十二指腸につながる出口の部分は幽門。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 噴門 | ふんもん |
噴門部 | ふんもんぶ | ||
英語・ラテン語 | cardia * | (英語読み) カーディア (ラテン語読み) カルディア | |
英語 | 形容 | cardial ** | カーディアル |
cardiac ** | カーディアック |
* | cardia は「噴門」の意味では単数形で、複数形は cardiae。一方、"~ cardia" は「心臓」をあらわす "~cardium" の複数形でもある |
** | 「噴門」の意味での形容詞形は、cardial または cardiac どちらも使うが、一方、「心臓」の意味では cardiac だけを使う |
噴門は横隔膜のすぐ下の腹腔内にある。食道が横隔膜を通り過ぎるのは第10胸椎のある高さで、噴門があるのは第12胸椎の高さ。胃の出口の幽門では、胃壁の筋層がそこだけ厚くなった幽門括約筋があって、内容物が十二指腸に流すかどうかを調節しているが、噴門には、噴門括約筋というような特殊な筋層はない。
噴門は、細い管状の食道が、胃の入口で急に広がっている箇所で、食道ではなくて胃の一部。この部分の胃壁の構造は胃の他の場所と似ているが、噴門にある腺は、胃液を分泌する固有胃腺(胃底腺)ではなく、噴門腺という粘液性の液体を分泌する腺(粘液腺)である。噴門腺の分泌物は中性なので、酸性の胃液が食道の方に来て壁が溶けないようにしている。噴門のすぐとなりの食道の一番下にも噴門腺があるが、そちらは食道噴門腺として区別することもある。
食道と胃の境界線だけを噴門と呼び、その周辺の場所を噴門部と呼んで区別することもある。また、別の言い方では、食道と胃の境界線を噴門口と呼び、境界付近の場所を噴門と呼ぶ場合もある。