手根中手関節
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
手根中手関節とは、手首の骨(手根骨)と手のひら(手の甲)の骨(中手骨)との間にある関節の意味で、手のひらの内部の手首の近くにある。略称は carpometacarpal joint から、CM関節。
手根骨は片手に8つある手首(手根)の骨で、このうち、手の先端に近い側(遠位)の4つ(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨)が手根中手関節をつくる。中手骨は手の甲(手のひら)の骨で、親指(第1指)から小指(第5指)までに対応するように5本ある(第1中手骨~第5中手骨)。4つの手根骨と5本の中手骨が2列に並ぶように接している間にあるのが手根中手関節である。
手根中手関節のうち、親指(母指、第1指)の根元にある、第1中手骨と大菱形骨とがつくる関節を、母指の手根中手関節(第1手根中手関節)として、それ以外の4本の指の根元の手根中手関節と区別する。反対に、手根中手関節を狭い意味で使うときには、母指の手根中手関節を含めない。第2~第5中手骨がつくる手根中手関節を、それぞれ第2~第5手根中手関節と呼ぶこともある。
母指の手根中手関節 †
母指(第1指)の手根中手関節は、関節包が他とは独立している。また、母指の手根中手関節は、色々な方向に広く動かすことができる関節で、母指の動きには非常に重要。関節の形式は鞍関節。
(母指以外の)手根中手関節 †
母指以外の手根中手関節は、全体でつながった1つの関節包をつくっている。それぞれの手根骨と中手骨との間は靭帯で強く固定され、ほとんど動かない半関節である。第4指、第5指の手根中手関節は、こぶしをつくるときに少し動くが、第2指、第3指の手根中手関節はほとんど動かない。関節の形式は平面関節。