血液脳関門
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
血液脳関門とは、脳や脊髄の中を通る毛細血管の壁が,物質がなんでも自由にすり抜けられないようになっていることを指す用語.血液と一緒に流れてくる異物や病原体などが,脳や脊髄に入り込んで,ニューロン(神経細胞)に悪い影響を及ぼさないために役立っている.
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 血液脳関門 | けつえきのうかんもん |
英語 | blood-brain barrier | ブラッド・ブレイン・バリア | |
略語 | BBB | ビー・ビー・ビー |
毛細血管の壁は,通常は血液中に含まれる栄養素と周辺の組織に含まれる老害物を交換しやすいように,物質が通り抜けやすいようにできている.しかし,器官によっては,毛細血管が特殊化して,物質の通りやすさがコントロールされている.脳にあるのもその一例で,血液脳関門という.
毛細血管の壁を作っているのは内皮細胞という薄っぺらい細胞だが,脳や脊髄などの中枢神経系の神経組織中を通る毛細血管では,この内皮細胞が互いに強く結合して物質が通りにくくなっている.栄養分などのニューロンが必要とするものは,それだけを選択的に通すためのトランスポーターがあって,積極的に神経組織内へと運ばれる.
毛細血管の壁のすぐ外側には,神経組織のグリア細胞の一種であるアストロサイト(星状膠細胞)からのびる突起がびっしりとはりつき,内皮細胞の外側にもう1層のバリアをつくっている.ニューロンに必要な栄養は,アストロサイトによってニューロンまで運ばれる.