胸腺 のバックアップ(No.2)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
胸腺とは、胸部の心臓の少し上にある器官。リンパ系の器官で、Tリンパ球(=T細胞)ができるところ。Tリンパ球の「T」は胸腺(thymus)の「T」。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 胸腺 | きょうせん |
英語 | thymus * | サイマス |
* | thymus gland とも呼ぶが、gland はあまりつけない |
胸腺は胸腔内臓で、肋骨に囲まれた胸腔内にある。心臓の上には心臓に出入りする大血管が集まる場所があるが、その前面に張りつくようにある、縦郭にある器官である。
左右の塊(葉)に分かれ、どちらもひらべったい。もっとも大きいのは思春期以降で年とともに小さくなり、脂肪組織に置き換わる。体重に対する割合は新生児で最大。以後はあまり大きくならない。
左右の葉は、さらにたくさんの小葉にわかれる。内部には、胸腺細胞というリンパ球がびっしり詰まる。胸腺細胞は骨髄からやってきて胸腺で成熟するとTリンパ球(=T細胞)になり、胸腺から全身に出ていく。胸腺組織の枠組みをつくり、胸腺細胞の成熟をサポートする細胞は細網細胞(上皮性細網細胞)といい、胸腺にはこの細胞も多い。