コラーゲン
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コラーゲンとは、動物の生体内でつくられる蛋白質のひとつ。細胞から細胞外へと分泌され、生体内で線維(コラーゲン線維、コラーゲン細線維など)をつくる。コラーゲンでできている線維は引っ張られる力に対して非常に強く、弾力性もあるため、構造が壊れにくくなるよう強くして弾力性をもたせる働きがある。多くの結合組織(骨、軟骨、靱帯、腱、皮膚の真皮など)をはじめとして、体の様々な部分で使われており、ヒトの体を構成する蛋白質の中で、もっとも体内での存在量が多い蛋白質である。ゼラチンは、コラーゲンが部分的に分解して、水に溶けるようになったもの。
* | コラーゲンの語源は、ギリシャ語の Kolla コラ(膠 - にかわ、のりの意味)と「~のもと」を意味する -gen をつなげた造語 |
** | コラーゲン線維のことを膠原線維とも呼ぶ。また、結合組織に炎症の起こる病気の膠原病(collagen desease コラジェン・ディジーズ)とは、「コラーゲン病」の意味 |
*** | 日本語での読み方は、ドイツ語の名前にしたがったもの |
目次 |
コラーゲン分子とその種類 †
1コのコラーゲン分子は、α鎖(アルファさ)と呼ばれる直線状のペプチドが3本集まって、3本のひもをより合わせるようにねじれた形になったものが基本単位である。
α鎖には、アミノ酸配列がちょっとずつちがうものが数多くあることが知られている。α鎖が異なっているコラーゲン分子は、みな体内で別の場所にあり、別の機能を持っている。これらは、I型コラーゲン、II型、III型、IV型…などと番号をつけて区別されている。30種類以上みつかっている。
たとえば、I型コラーゲンは、骨や靱帯、腱、皮膚の真皮などに、II型コラーゲンは軟骨に、III型コラーゲンは血管などに多く含まれ、IV型コラーゲンは基底膜をつくる、など。
コラーゲンの合成と分泌 †
線維芽細胞などの細胞がコラーゲンをつくる。細胞内でコラーゲンのα鎖ペプチドが合成されると、3本のα鎖がらせん状に寄り集まる。このコラーゲン分子をプロコラーゲンという。プロコラーゲンは、コラーゲンの前駆体蛋白質である。プロコラーゲンが細胞外へと分泌されると、酵素によって両端が切断されて、コラーゲン分子が完成するとなる。こちらの形をトロポコラーゲンという。
コラーゲンの集合 †
コラーゲンの種類によっては、トロポコラーゲンが細胞外でたくさん集まって並び、より長く、太い線維状になる。これをコラーゲン細線維(コラーゲン原線維)という。太いといっても太さは数十~100 ナノメートル(nm)程度で、もちろん眼では見えない。骨や軟骨では、いろんな方向に伸びるコラーゲン細線維がびっしりと含まれている。トロポコラーゲン分子がコラーゲン細線維をつくるときには、分子がちょっとずつ縦方向にずれながらきっちりと配列するので、電子顕微鏡で見ると横じま模様(64 nm おき)がみえる。
また、場所によってはこのコラーゲン細線維がさらに無数に集まってより太い強大な線維をつくることもある。これはコラーゲン線維(=膠原線維)という。コラーゲン細線維よりも更に強い力に耐える構造。太さは数~20 マイクロメートル(µm)ほどあるので、普通の顕微鏡でも見えるぐらいの大きさ。腱や靭帯などではそれが1方向にきっちりと配列していて、真皮では、さまざまな方向にならんでいるものが密につまっている。
コラーゲン細線維をつくらない種類のコラーゲンの型もある。