結合組織

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

支持組織でこの項目を参照しています

 結合組織とは、動物の体をつくる組織の分類のひとつ。細胞と細胞のまわりにある大量の物質からできていて、体を支えたり、体の中のさまざまな部分の形を維持したり、すき間を埋めたり、といった多様なはたらきをする組織を、ごく大きなくくりでまとめて呼ぶときの名前。支持組織ということもある。

言語表記発音、読み方
日本語医学結合組織けつごうそしき
支持組織しじそしき
英語connective tissue *クティブ・ティシュー
supporting tissue **ーティング・ティシュー
* 結合組織に対応
** 支持組織に対応

 広い意味での結合組織(この項目ではこの使い方をしている)には、軟骨脂肪筋肉と骨をつなぐ部分)、靱帯関節をささえる)、真皮皮膚の一部)、皮下組織、いろいろな内臓にあるリンパ組織血液など、一見構造がかなり異なっている、さまざまな種類の組織が含まれる。

 狭い意味の結合組織は、このうち、骨、歯、軟骨、脂肪、血液などの特殊な組織を除いた残りを指す。「結合組織」を広い意味で使うときは、狭い方の結合組織を固有結合組織と呼ぶ。「結合組織」を狭い意味で使う場合は、他のタイプをあわせた全体を支持組織という別の呼び方をする。

 また、結合組織という言葉は、慣用的には、体の中のいろいろな構造や臓器のすき間を埋める組織(=間質または支質)をさす場合がある。

結合組織の特徴

 結合組織の特徴は、細胞だけでつくられているのではなく、細胞がつくりだして、その周囲に蓄積する大量の物質によって構成されていること。

 たとえば、は、細胞が集まってできているわけではなく、コラーゲンや、カルシウムなどを主成分とする物質のかたまり(=骨基質)でできている。この骨基質は、骨の表面に並んでいる骨芽細胞という細胞が作り出して、細胞のまわりに分泌することによってつくられたものである。

 また、は、びっしりと配列した強靭なコラーゲン線維の束からできているが、コラーゲン線維のすき間には、ところどころに、コラーゲンを作り出す細胞である線維芽細胞線維細胞腱細胞)がいて、細胞の周りにコラーゲン線維を分泌している。

 これらの物質のかたまりは、これを作り出した細胞の外側に蓄積されているため、細胞外基質(細胞外マトリクス)と呼ばれる。さまざまな結合組織が、種類によって異なった硬さ、弾力性、柔軟性などをもっているのは、組織の種類によって、細胞外マトリクスの成分が異なっているためである。

結合組織の分類

 細胞外マトリクスをどのような物質が構成しているかにより、結合組織は多くの種類に分けられる。

骨組織
骨をつくっている細胞外基質は骨基質と呼ばれる。コラーゲン細線維多糖類にまざって、大量の無機質(リン酸カルシウム炭酸カルシウムなど)が蓄積する。歯系組織)も骨組織と似ている。
軟骨組織
軟骨基質は、コラーゲン細線維やプロテオグリカンなどの糖を含む基質である。
密性結合組織
線維性結合組織とも呼ばれ、細胞外にはコラーゲン線維などの線維性の成分がびっしりと規則的に並んで配列している。靱帯皮膚真皮など。
疎性結合組織
線維の量が比較的少なく、そのすき間にさまざまな種類の細胞がぱらぱらと、あるいは比較的密に並んでいる。リンパ系組織のつくる細網組織や、消化管粘膜の結合組織(粘膜固有層)、骨髄皮下組織など。
脂肪組織
疎性結合組織の特殊な形のひとつで、脂肪細胞と呼ばれる細胞内に脂肪を蓄積する細胞が多量に含まれる。
血液
血液は、血漿(血液の中の液体の部分)の中に血球(細胞)が分散している形が細胞外基質の中に細胞が散らばっているほかの結合組織に似ているので、ちょっと無理やりだが、結合組織に含めて考えることが多い。

カテゴリー: 結合組織 | 組織分類

 
 

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