レニン

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 レニンとは、腎臓傍糸球体細胞から血液中に分泌されるタンパク質で、尿を減らし、血圧を高める作用を持つ物質。レニンが直接それらの作用をもっているのではなく、レニンは血液中のアンジオテンシノゲン(アンギオテンシノーゲン)を切断してアンジオテンシンI(アンギオテンシンI)をつくるタンパク質分解酵素である。アンジオテンシンIがさらにアンジオテンシンIIに変化すると、アンジオテンシンIIは (1) 血管を収縮させ、(2) バソプレシン(抗利尿ホルモン)を分泌させることで、尿からの水の再吸収を促進し、また、(3) アルドステロン(ミネラルコルチコイド)を分泌させることで、尿からのナトリウムイオンの再吸収を促進させる。

言語表記発音、読み方
日本語医学レニン *レニン
英語renin *ニン
* レニン renin は、腎臓のラテン語 ren(レン)から分泌されるので名付けられた

 レニンは、血液中に分泌されるタンパク質で、レニンは血液中のアンジオテンシノゲンを分解してアンジオテンシンIにするが、ホルモンに含められる場合もある。ふつうのホルモンは標的器官で受容体と結合してなにかの作用をおこすが、レニンは別の器官や細胞に作用するわけではない。

 レニンを分泌する細胞は、腎臓糸球体の近くにある傍糸球体細胞(糸球体傍細胞)で、この細胞は糸球体に出入りする輸入細動脈の壁を作っている。ここを流れる血圧が減少したり、ナトリウム濃度が下がったりするとレニンの分泌が促進される。

 レニンによってアンジオテンシンI がつくられるので、「レニン・アンジオテンシン系」 renin-angiotensin system と呼ぶことがある。その後、アンジオテンシンII によってアルドステロンの分泌が促進されるので、まとめて、「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系」renin-angiotensin-aldosterone system と呼ぶことがある。

カテゴリー: 内分泌系 | 泌尿器系 | 物質名 | タンパク質 | ホルモン | 腎臓

 
 

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