血液空気関門
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
血液空気関門とは、または肺胞毛細血管関門とは、肺で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる部分にある構造のことで、肺胞の空気と肺胞のすぐ外を通る毛細血管を隔てる3層構造のこと。構造としては、肺胞の1型上皮細胞と毛細血管の内皮細胞とその間にある基底膜がつくっている。どれも非常に薄っぺらい構造で、酸素分子や二酸化炭素分子はここを濃度勾配による拡散のはたらきで通過する。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 血液空気関門 | けつえき-くうき-かんもん |
肺胞毛細血管関門 | はいほう-もうさいけっかん-かんもん | ||
英語 | blood-air barrier | ブラッド-エア・バリア | |
alveolo-capillary barrier | アルヴィオロ-キャピラリー・バリア |
肺で呼吸が行われるとき、肺胞の中の空気と毛細血管の中の血漿との間でガス交換が行われる。ガス交換は、物質の濃度が高いほうから低い方に移動する拡散の力によって起こる。酸素(O2)は空気中には多く、肺に血液中には少ない(肺には静脈血が届く)ので、空気中から血液中に移動する。それとは逆に、二酸化炭素(CO2)は血液中に多く含まれ空気中には少ないので、血液中から空気中へと移動する。肺胞の空気と毛細血管内の血液を隔てる3層の構造は、非常に薄いのでこれらの拡散は血液が毛細血管をゆっくりと流れる短い時間にも効率よく起こる。
肺胞の上皮細胞や毛細血管の内皮細胞には細胞膜がある。細胞膜は疎水性の脂質でできているので、極性の高い水分子やイオンなどは通りにくいが、極性のない酸素分子や二酸化炭素分子は通りやすい。