基底膜
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
基底膜とは、または基底板とは、ある種の細胞と結合組織との間にある、コラーゲンなどでできた非常に薄い膜で、細胞の足場のような層。上皮組織でよく発達していて、シート状の上皮と、上皮のとなりにある結合組織との間には1層の基底膜が挟まっている。ちょうど、お花見のときに、芝生(結合組織)に直接座るとチクチクしたりぬれたりするので、レジャーシート(基底膜)を敷いて、その上に人々(細胞)が座っている感じ。上皮や上皮組織に含まれる腺組織、血管内皮など以外にも、脂肪細胞、筋細胞、シュワン細胞などにもある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 基底膜 | きていまく |
基底板 | きていばん | ||
英語 | basement membrane* | ベイスメント・メンブレン | |
basal lamina** | ベイサル・ラミナ | ||
ラテン語 | membrana basalis* | メンブラナ・バサリス | |
lamina basalis** | ラミナ・バサリス |
* | 基底膜に相当する用語 |
** | 基底板に相当する用語 |
基底膜は、細胞膜とはまったく違うもの。細胞膜は細胞の表面にある細胞の一部だが、基底膜は細胞がつくって周囲に分泌した物質からできている細胞外基質の一種。細胞膜は脂質二重膜からできていて、水溶性の物質を通さず、細胞の内外を区切っているが、基底膜はコラーゲン(IV型コラーゲン)など線維性タンパク質が網の目になっているだけで、水溶性の物質は自由に通り抜けられる。
基底膜は、PAS染色で染色される。基底膜の厚さは臓器によって決まっていて、特に厚いところではふつうの顕微鏡(光学顕微鏡)で見えるが、そうでないところでは、PAS染色などの基底膜だけが染まる染色などをしないとどこにあるかわからない。電子顕微鏡でみるとみえる。