重層扁平上皮
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
重層扁平上皮とは、上皮を細胞の形と並び方で分類したときのひとつのタイプ。細胞が多くの層をなして積み上がってできている上皮(=重層上皮)の一種で、積み上がった細胞層の上のほう(表面近く)にいくにしたがって、その形が、ひらべったい(=扁平な)細胞になっているタイプの上皮のこと。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 重層扁平上皮 | じゅうそうへんぺいじょうひ |
英語 | stratified squamous epithelium | ストゥラティファイド・スクウェイマス・エピスィーリアム |
重層扁平上皮では、細胞がお互いにがっちりと結合しあって、多くの層をつくっていることから、外部から力がかかったとき(ひっかかれたり、引っ張られたりよじれたり、など)に非常に丈夫で壊れにくいのと、物質が通り抜けにくいのが特徴。
積み重なった、たくさんの細胞層のうち、下の層の細胞は扁平(平べったい)ではなく、立方の形をしていて、上(表面)に行くにしたがって、細胞の形が扁平になっていく。一番下の層が新しい細胞が分裂して増える層で、古い細胞は次第に上に押し上げられていく。
重層扁平上皮には、一番上に死んでかたくなった細胞層があるものがある。この層を角化層(角質層)といい、角化層があるものを、角化重層扁平上皮と呼ぶ。角化層があるととくに乾燥に強く、また、構造的にも壊れにくくなる。
たとえば、食道の内側(粘膜)の上皮は、厚い重層扁平上皮で覆われていて、まだ形のある食べ物を飲み込むときに、食道の壁が傷つかないようになっている。食道の上皮は角化していない。また、皮膚の表皮も重層扁平上皮で、体を外部の力から守り、体液が体外に失われないように、物質の出入りをシャットアウトしている。こちらは表面が角化している角化重層扁平上皮である。