扁平上皮
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
扁平上皮とは、上皮の種類の名前だが、単に扁平上皮という上皮はなく、重層扁平上皮と単層扁平上皮という役割や構造がかなり異なる2種類の上皮がある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 扁平上皮 | へんぺいじょうひ |
英語 | squamous epithelium | スクウェイマス・エピスィーリアム |
単層扁平上皮と重層扁平上皮とは、役割や構造が異なる別の上皮なので、これらを扁平上皮としてまとめて扱うことはあまりない。病気の名前で、扁平上皮癌、扁平上皮化生などというときの扁平上皮とは、重層扁平上皮の意味で使っている。
上皮の名前につく「扁平」とは、その上皮を作っている細胞のうち、もっとも表面に近い場所の(表面に面している)細胞の形が扁平な細胞(平べったい形の細胞)であることを示す。
- 単層扁平上皮では、その上皮はただ1層の扁平な細胞だけからできる、薄い上皮である。単層扁平上皮は薄くて破れやすいが、物質が通り抜けやすい上皮で、毛細血管の壁や、肺胞の壁などにある。
- 重層扁平上皮では、細胞が何十層にも積み重なったうちの、もっとも表面の細胞の形が扁平である。ちなみに、重層扁平上皮の細胞の形は表面から離れて下に行くほど扁平ではなくなり、一番下の層では立方細胞あるいは円柱細胞になる。重層扁平上皮は細胞層が多いので物質が通り抜けず遮断され、きわめて破れにくい上皮で、口腔、食道、肛門、腟などにあり、皮膚もこれに近い。