ハムストリングス
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
大腿部膝屈筋、膝屈曲筋、ハムストリング筋、ひかがみ筋でこの項目を参照しています
ハムストリングスとは、またはハムストリング筋とは、大腿の後ろ側にあるいくつかの筋をまとめて呼ぶ名前。大腿後面の筋のうち、その筋の下側の腱が膝の裏(膝窩)の横を通り(=膝窩腱)、すねの骨(脛骨、腓骨)についているもの。医学・解剖学用語というよりも、トレーニングなどの分野で使われるようになった言葉。膝を曲げるのに働くため、医学・解剖学では、大腿部膝屈筋、膝屈曲筋 などの呼び名を使うこともある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 大腿部膝屈筋 | だいたいぶ - しつくっきん |
膝屈曲筋 | しつくっきょくきん | ||
一般 | ハムストリング(ス) | ||
ハムストリング筋 | ハムストリングきん | ||
膕筋 | ひかがみきん | ||
英語 | hamstring(s) * | ハムストリング(ス) | |
hamstring muscles | ハムストリング・マッスルズ |
* | 英語の hamstring は、大腿後面の筋の意味で使う時と、膝窩腱の意味で使う時がある。これを区別するために、筋を指すときは hamstring muscles にすると間違いがない |
もともと、英語の hamstring (ハムストリング)とは膝の裏(膝窩)の横を通る腱(=膝窩腱)のこと。これらの腱につながる大腿後面の筋を hamstring muscles (ハムストリング筋)と呼んでいたが、現在は意味が変わってしまい、hamstrings だけでもこれらの筋そのものを指すようになった。英語の hamstring は今でもどちらの意味で使うこともある。一方、英語とは違って、日本語でハムストリング(または複数形にしてハムストリングス)と言ったときに、膝の裏の腱を指すことはまずないので、ハムストリングの後の「筋」はつけてもつけなくても意味は変わらない。
ハムストリングに含まれる筋 †
ハムストリングスには、ふつう膝の裏を通る腱(膝窩腱)をつくる筋が含まれるが、どの筋を指すのかには何通りか考え方があるらしい。
これらは坐骨結節からおきて脛骨か腓骨に付くので、股関節と膝関節の2つを越える二関節筋で、どれも脛骨神経の支配を受けるのが共通点。これに、
- 大腿二頭筋の短頭(大腿骨から起こり腓骨に付く、総腓骨神経支配)を加えることが多い
- 薄筋、縫工筋など、内側の膝窩腱をつくる筋も含まれることがある
- 大内転筋を加える場合もあるらしい。大内転筋は膝の裏を通る腱をつくらないが、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋の長頭と同じく脛骨神経の支配を受ける
英語の ham の昔の意味は、動物のあしの途中の曲がったところ、つまり膝やかかとのことだった。その場所にある string (ひも、楽器の弦、弓のつる、腱の昔の言い方)には膝窩の腱やアキレス腱などがある。これらがもともとの hamstring。 |