咀嚼筋
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
咀嚼筋とは、または咀嚼筋群とは、口を閉じて(閉口)、歯で食べ物を噛み砕く(咀嚼)運動を行う筋をまとめて呼ぶ言い方。歯を噛み合わせるときにあごを動かす筋を指す。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 咀嚼筋(群)* | そしゃくきん(ぐん) |
英語 | masticatory muscles | マスティカトリー・マッスルズ | |
muscles of mastication | マッスルズ・オブ・マスティケイション | ||
ラテン語 | musculus masticatorii | ムスクルス・マスティカトリイ |
* | 嚼 の右側は旧字体だが、自分で書くときは、「口へん」に 爵 と書けばよい |
上の歯は上顎骨(上あごの骨)、下の歯は下顎骨(下あごの骨)にあるが、上顎骨は他の頭蓋骨と一体となって動くので、歯を噛み合わせる運動は、下顎骨とそれ以外の頭蓋骨との間の筋が関係する。咀嚼筋には、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4つ(4対)の筋が含まれる。これらは、ものを噛むときに力を出す筋である。これに対し、口を開ける筋(舌骨上筋群)は咀嚼筋には含めない。
咬筋と側頭筋は、下顎骨の外面につき、内側・外側翼突筋は下顎骨の内面に付く。4つのうち、外側翼突筋以外の3つは顎を引き上げて口を閉じるのに働く。側頭筋はあごを後ろに引く働きもある。外側翼突筋は両側が同時に収縮するとあごが前に出るが、片側ずつ収縮させると、顎を左右に動かして、奥歯で食べ物をすりつぶす動きをする。どれも、下顎神経(三叉神経の第3枝)の支配を受ける。