多列線毛上皮
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
多列線毛上皮とは、粘膜などを構成する上皮の種類のひとつ。気道などにある上皮で、表面の細胞に線毛(=繊毛)が生えている。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 多列線毛上皮、多列繊毛上皮* | たれつせんもうじょうひ |
偽重層線毛上皮、偽重層繊毛上皮*,** | ぎじゅうそうせんもうじょうひ | ||
英語 | pseudostratified ciliated epithelium** | シュード-ストゥラティファイド・スィリエイティッド・エピスィーリアム |
* 「線毛」と「繊毛」は同じ意味。医学・解剖学ではどちらかというと「線毛」をよく使う ** 「偽重層上皮」と「多列上皮」は同じ意味。日本語では多列上皮のほうをよく使うが、英語では 偽重層上皮 pseudostratified epithelium を使う。pseudo は「ニセの」、stratified は「重層」の意味。ciliated は線毛 cilia が生えている、の意 |
多列線毛上皮は、線毛(繊毛)の生えた多列上皮の意味。線毛は一定の方向に波打つように動くことができる微細な毛がたくさん並んでいるもので、上皮の表面を覆う液体に流れをつくる。
多列上皮は背の高い細胞が一列に並ぶなかに、低い細胞が混ざっている上皮のこと。上皮の下にある基底膜にはすべての細胞が接するが、上皮の表面にとどくのは背の高い方の細胞だけで、線毛が生えているのはその細胞。ふつうその細胞は円柱細胞なので、詳しくいうと、多列線毛円柱上皮となる。
「線毛」(=繊毛)とよく似ている用語に、「絨毛」「微絨毛」があるが、これらはまったく違うものを指す言葉なので注意する(➝ 「線毛」の項目を参照)