線毛
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
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線毛とは、または繊毛とは、細胞の突起の一種で、細胞の表面に生えた細い毛のような構造。線毛はムチを振るような、あるいはヘビがにょろにょろと進むときのような動き方で動くことができ、細胞の周囲の液体に水流を起こせる。1本の線毛は直径 数 nm で、長さが数100 nm 程度まで。通常の(光学)顕微鏡で見ることができる。
* | 「線毛」の漢字は、医学の分野で主に使う。他の分野では、繊毛を使う。異体字を参照 |
** | 1つの細胞に多くの線毛がまとまって生えていることが多いので、複数形を使うことが多い |
線毛は、ゾウリムシなどの単細胞生物に生えているのが有名だが、人体ではさまざまな場所の上皮細胞に生えている。
線毛の基本構造は、微小管を中心とした構造をしている。微小管を構成するチューブリン蛋白質と、ダイニン蛋白質がエネルギーを消費してすべり運動をすることで、線毛の曲がり方が順に変化する。これによって線毛の運動が起こる。この基本構造は鞭毛も同じ。
線毛は細胞の表面にたくさん並んで生えていることが多いが、1本だけ生えていて太い線毛を特に鞭毛という。精子の鞭毛、単細胞生物のミドリムシの鞭毛など。
線毛(繊毛)、絨毛(柔毛)、微絨毛の区別 †
「線毛」(=繊毛)とよく似ている用語に、「絨毛」「微絨毛」があるが、これらはまったく違うものを指す言葉なので注意する。
- 線毛または繊毛(せんもう、英語 cilia)
- このページで説明している構造。たとえば、気管、気管支の上皮細胞の表面に生えている構造で、光学顕微鏡で観察できる。微小管 microtubule でその骨格を構成されており、線毛運動をする。
- 微絨毛(びじゅうもう、英語 microvilli)
- 線毛と同じく細胞の表面に生えているが、線毛よりも細く短いため光学顕微鏡では細部まで観察できないことが多い。アクチン線維 actin filament/microfilament でその骨格を構成されており、小腸などの吸収面積を広げるための構造であり、自ら動くことはできない。
- 絨毛(じゅうもう、英語 villi)
- 小腸などにあり、数多くの細胞がつくりだす「指状突起」でそのサイズは1mm程度。