空腸

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 空腸とは、消化管の一部。食べ物の通る順で言うと、十二指腸の次、回腸の前にある内臓のこと。十二指腸、空腸、回腸をあわせて、小腸という。全部で 6 m ほどの長さの小腸のうち、最初の 25 cm 程度が十二指腸、残りのうち、5分の2程度が空腸、5分の3程度が回腸。

言語表記発音、読み方
日本語医学空腸くうちょう
英語・ラテン語jejunum *(英語読み)ヂヂューナム
(ラテン語読み)イェユヌム
ラテン語intestinum jejunumインテスティーヌム・イェユヌム
* jejunum は、ラテン語の intesutinum jejunum を省略した形。jejunus は「中身がない、空洞」の意味
図:空腸の位置(水色)*1
空腸の位置

 おなかの中(腹腔)にある腸のうち、うねうねと蛇行しながら走っている、一番 "腸っぽい" 部分が、小腸のうちの空腸回腸。空腸と回腸の境界はあいまいではっきりとした線があるわけではなく、おおまかな区別があるだけ(空腸と回腸の区別点は下の節で)。

 空腸と回腸には腸間膜(小腸間膜)があって、腹腔の背中側の壁(後腹壁)にゆるくつながっている。これにより、空調や回腸は比較的自由に動けるが、からまったりすることがない。一方、十二指腸はそのものが後腹壁にくっついていて、腸間膜がない。十二指腸と空腸の境目のあたりには、十二指腸空腸曲トライツ靭帯(=十二指腸提筋)などがある。

空腸と回腸の違い

 小腸の壁は、どこも基本的に同じ構造をしている(小腸を参照のこと)。このうち、空腸は回腸に比べて、

  • 少し太い
  • 腸の壁が厚い
  • 輪状ひだ(ケルクリングひだ)がより発達
  • 腸絨毛(柔突起)がより発達(1本が長くて、密に生えている)
  • 腸間膜内を走って小腸に入っていく血管腸間膜動脈の枝)が多い

という傾向がある。ただし、ぱっとみてはっきりと区別ができるとは限らない。

手術時は執刀医が空腸と言えばそこは空腸となり、回腸と言えば回腸となる。

カテゴリー: 消化器系 | 消化管 | 腹部 | 小腸 | 器官


*1 Source: an illustration provided by National Cancer Institute, USA, reproduced and modified.
 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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