腸絨毛
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
腸絨毛とは、小腸の粘膜(腸の内腔側の表面)にびっしりと並んで生えている小さな突起のこと。ひとつの腸絨毛の長さは 1 mm 前後なので、かろうじて肉眼で見えるかどうか、というサイズ。
* 腸絨毛のことを単に絨毛とだけ呼ぶこともあるが、絨毛と呼ばれる構造は小腸以外にもある(例:絨毛膜絨毛) ** 医学・解剖学以外で使うことがある *** villi は複数形で、単数形は villus ヴィラス。たくさん並んでいる絨毛を全体として指すことが多いので単数形はあまり使わない |
絨毛の「絨」は、じゅうたん(絨毯)の絨で、絨毯のようにケバだったものがびっしりとならんでいるときのケバケバのこと。腸絨毛(絨毛)のことを、柔毛、柔突起などと呼ぶこともあるが、「柔」の発音は「じゅう」で同じだが意味は違う言葉(確かに絨毛はやわらかいんだろうけど) |
腸絨毛があるために小腸の粘膜の表面積は数十倍以上になる効果がある。消化酵素の一部や小腸の壁に栄養分を取り込む輸送体の分子は粘膜の表面にあるので、粘膜の表面積が大きいほど、多くの食物が同時に消化・吸収可能なので効率がよい。
- 腸絨毛は大腸にはない。
- 小腸のうち、絨毛は十二指腸でもっとも発達していて、大腸に近い回腸では発達が悪い。絨毛の形も違っている。
- 腸の表面積を増やしている構造には腸腺(腸陰窩、リーベルキューン腺)もある。腸腺は小腸と大腸にある。
- 微絨毛(びじゅうもう)は、絨毛とは全く別の構造で、もっとずっと小さい。細胞1個1個の表面にあるケバケバのこと。いろいろな細胞の表面の細胞膜にある。