輪状ひだ
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
輪状ひだとは、小腸の内側の表面に多数あるひだで、小腸の横断面の方向に走る。粘膜全体が「蛇ばら」のように折り畳まれている。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 輪状ひだ | りんじょうひだ |
ケルクリングひだ* | |||
ケルクリング弁* | ケルクリングべん | ||
英語 | 複数 | circular folds | サーキュラー・フォールズ |
Kerckring folds* | ケルクリング・フォールズ | ||
Kerckring valves* | ケルクリング・ヴァルヴス | ||
ラテン語 | plicae circulares | プリカエ・キルクラレス |
* ケルクリング Kerckring は、17世紀のオランダの解剖学者テオドール・ケルクリングから |
小腸内を消化物が通過するとき、この構造により小腸の粘膜表面の面積が数倍に増えて、消化の機会が増加している。また、小腸の平滑筋層は収縮・弛緩をくりかえすとき、小腸の粘膜が折りたたまれているのでその伸び縮みに対応しやすくなっている。
小腸のすべて(十二指腸、空腸、回腸)にあるが、大腸にはない。大腸には部分的な「半月ひだ」がある。小腸では空腸では発達しているが、回腸では遠位(肛門側)に行くにしたがい、目立たなくなる。
小腸の壁のうち、外側に近い筋層はひだに関係なくまっすぐだが、内側の粘膜全体がおれまがりひだをつくっている。それらの形の違うすき間を埋め、ひだの土台をつくっているのは粘膜下組織である。