肘窩
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
肘窩とは、肘を曲げたとき、その内側にできるくぼんだ部分のこと。肘のでっぱったところは肘頭という。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 肘窩 | ちゅうか |
英語 | cubital fossa* | キュービタル・フォッサ | |
ラテン語 | fossa* cubitalis | フォッサ・クビターリス |
* | ラテン語の fossa は、溝や窪みなどの意味。ここでは「窩」に対応 |
肘窩のある場所は、肘の前面で、ここは前肘部と呼ばれる場所。解剖学的正位にある上肢では、肘窩、手掌などは上肢の前面にある。
肘窩の周囲との境界は、筋肉が盛り上がって作っている。前腕の外側(橈側、つまり親指の側)では腕橈骨筋が、前腕の内側(尺側)では円回内筋がそれぞれ斜めに走っているところが肘窩の境界である。上腕の側では、上腕筋がゆるい傾斜の壁を作る。上腕筋は肘窩のくぼみの底も作っている。
肘窩の血管、神経 †
- 上腕動脈は、肘窩で橈骨動脈と尺骨動脈に分かれる。これらには、伴行静脈があるので、上腕静脈、橈骨静脈、尺骨静脈も並んで走る。
- 肘窩の皮下組織には皮静脈が通る。前腕尺側皮静脈、前腕橈側皮静脈や、肘正中皮静脈、これらが合流した尺側皮静脈。これらの皮静脈では静脈注射して採血する。皮静脈の走りかたは個人差が大きいのでどこから血がとりやすいかは人によって異なる。
- 正中神経が通る。